千葉直重

千葉直重について

千葉直重（ちば なおしげ）は、戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した武将です。後北条氏の一族であり、北条氏政の子として生まれました。

生涯

直重は、天正12年（1584年）以前に叔父である北条氏照（大石源三）の養子となりました。その後、天正13年（1585年）に千葉邦胤が亡くなると、千葉氏の家中で後継者を巡る内紛が起こります。当時、邦胤の子は幼少であったため、北条氏は佐倉領への進軍を決定し、鹿島城を築いて佐倉を制圧しました。同時に、反北条派の頭領であった原親幹に対しては、北条氏政が服属交渉を行い、親幹はこれを受け入れて北条家に忠誠を誓いました。

この結果、直重は千葉氏の養子として迎えられ、家督を継承することになります。この際、北条家は、邦胤の生母ではないものの、家中に影響力を持っていた千葉胤富の室（千葉勝胤の子・神島胤重の娘とされる）を擁立し、邦胤の娘を直重に嫁がせることで、家中の取りまとめを図ったとされています。天正17年（1589年）に元服し、千葉家に由来すると見られる七郎を称し、同年には家督を正式に継承しました。

小田原征伐では、直重は小田原城に籠城しましたが、その後、妻と離縁し、兄である北条氏直に従って高野山に隠棲しました。天正19年（1591年）に赦免されると、同じく赦免されたとみられる蜂須賀家政に仕え、500石の知行を与えられました。

直重には、継室との間に生まれた実子である十三郎がいましたが、早世したため、蜂須賀氏の家臣である益田豊正の三男を婿養子に迎え、大石重昌（おおいし しげまさ）と名乗らせて家督を継がせました。重昌の子孫は代々蜂須賀家に仕え、三代後の直武（なおたけ）からは、実家である後北条氏の祖先とされる伊勢氏を称しました。

直重の出自に関する異説

直重を北条氏政の子とする説が有力ですが、近年では朝野雅文によって、直重は北条氏康の子であるという異説が唱えられています。この説によると、直重は千葉親胤の暗殺後に、氏康と千葉氏の重臣の工作によって、千葉利胤の娘を娶って家督を継いだとされています。しかし、その後、千葉胤富擁立派に敗れて北条家に戻り、兄の氏照の養子になったとされています。この説は、史料解釈の違いによって生じたものであり、今後の研究の進展が待たれます。

参考文献

黒田基樹『戦国 北条一族』新人物往来社、2005年。
朝野雅文『最後の千葉介』北総史学研究所、2005年。
黒田基樹『北条氏康の妻 瑞渓院 政略結婚から見る戦国大名』平凡社、2017年。
黒田基樹『北条氏政 乾坤を截破し太虚に帰す』ミネルヴァ書房、2018年。

外部リンク

* 千葉氏の一族

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