千葉都市モノレール0形電車

千葉都市モノレール0形電車は、同社の懸垂式モノレール車両で、「URBAN FLYER（アーバンフライヤー）」の愛称で知られています。1988年の2号線部分開業以来活躍してきた1000形1次車の老朽化に伴う代替として、2011年12月に落成、2012年7月8日に営業運転を開始しました。車両価格は5次車で1両あたり2億9,000万円です。

本形式は千葉都市モノレールの資料に基づき、1000形からの連番で5次車以降として扱われ、編成番号は第21編成から付与されています。本稿もこの区分に従って記述します。

車両デザイン

車両デザインはGKデザイン総研広島が担当し、「空」をコンセプトとしています。デザインは、2006年以降に設置された「千葉モノレール新型車両デザイン検討委員会」で、学識経験者などによって4回にわたり検討が重ねられました。シンボルマークは、千葉の地名由来となった千葉氏の家紋である月星紋をアレンジしたもので、車両の随所に見られます。この紋章は、千葉氏が北極星の神格化である妙見菩薩を守り神として信仰した故事にちなみ、「空」の象徴として採用されました。

車体

車体は1000形と同様にアルミニウム合金製ですが、エクステリアは1000形のアルミ地から一新され、都市の空をイメージしたブルーを基調とし、先頭部にかけて黒を斜めに配色しています。さらに、飛行機雲をイメージした白いストライプが側窓下と車体下部に配され、アクセントとなっています。

2012年1月下旬から終電後に試運転が開始された際には、車体デザインを隠すため、シンボルマークと7月運行開始のみをPRする黒いプロモーション用ラッピングが全面に施されました。同年4月4日には、日中に本線でその姿を現し、4月12日の動物公園駅での新型車両内覧会および試乗会で、ラッピングが剥がされ、オリジナルのデザインが公開されました。

車内

内装は、車窓からの眺望を重視した設計となっています。乗務員室と客室の仕切りには大型ガラスを使用し、前面展望を拡大。乗降扉下部にも小窓を設け、デッキ部の眺望を広げています。さらに、乗務員室の床面中央にガラスを設置し、車体下部の眺望を楽しめるようにした点が大きな特徴です。

当初は、車両先端部にパノラマデッキを設け、開閉可能なガラス扉で乗務員室と客室を区切り、乗務員がいない最後部では扉を開放して車両の最端部まで立ち入れるようにする構想もありましたが、見直しにより採用されませんでした。側窓は、戸袋窓を除く車体中央の窓で、上部が内側に開く構造となっています。

座席は、黒を基調とした住江工業製の全席ロングシートで、片持ち式セパレートタイプのハイバックシート（一人あたり470mm）を採用。背ずりの上辺を円弧状にし、枕部にオレンジ色を配することで、着席区分を明確化しています。優先席は各車両の連結面側に設けられ、一般席とは配色が反転し、オレンジ色の座席に黒色の枕部となっています。優先席のみ、座席上部に荷物棚が設置されています。

バリアフリー対応として、乗務員室後方は車椅子スペースとなっており、乗降扉部の床面や優先席のつり革はオレンジ色とするなど、ユニバーサルデザインに配慮しています。また、乗降扉上部にはLED式の車内案内表示装置が設置されています。

空調装置は、能力26.74kW（23,000kcal/h）の集中式CU774B形を1台搭載しています。

2019年 12月下旬に導入された6次車（第25編成以降）からは、眺望性向上のため座席をハイバックシートからローバックシートに変更、座席間に縦方向の握り棒（スタンションポール）を増設、車内防犯カメラの設置、室内灯をLED照明に変更、行先表示器をフルカラーLEDに変更、車内案内表示装置を液晶ディスプレイ（LCD）に変更といった仕様変更が実施されました。

発車メロディ

1000形では乗降促進音としてブザーが使用されていましたが、本形式では乗降時の安全性を高めるため、発車メロディが採用されました。開発にあたっては千葉大学の協力のもと、合図性や快適性を持つメロディが検討されました。

主要機器

台車は、ゴムタイヤ空気ばね式二輪台車です。
制御装置は、IGBT素子を使用したVVVFインバータ制御（三菱電機製 MAP-606-15VD123形）を採用。主電動機は、1時間定格65kW・1100Vの三相交流式かご形三相誘導電動機を使用しています。
ブレーキ装置は、回生・応荷重装置付'>[発電ブレーキ]併用の電気指令式空気ブレーキを使用し、保安ブレーキ・駐車ブレーキも備えています。
集電装置は、工進精工所製の剛体複線用で、正側がKC102形、負側がKC202形です。
運転台は、デッドマン装置付の右手操作形ワンハンドルマスコンを採用しており、力行1 - 4ノッチ、常用ブレーキ1 - 5段から構成されています。

沿革

2006年には1000形置き換えのための新型車両製作が検討され、2007年には「URBAN FLYER 0」の仮称と車両の基本的なデザインが公開されました。当初は2009年度導入予定でしたが、営業運転開始は2012年となり、遅れた理由については公式には発表されていません。第21編成は2011年12月に、第22編成は2012年3月に三菱重工業三原製作所和田沖工場から陸送され、萩台車両基地に搬入されました。その後、第21編成の試運転・習熟運転が開始され、2012年4月4日には報道公開に先立って初の日中の営業線試験走行（動物公園 - 千城台間）が行われました。4月12日には動物公園駅で内覧会の後、試乗会を兼ねて千葉駅まで試験走行が行われ、以降はプロモーション用ラッピングが剥がされた本来の姿で試運転を行っています。同日には「Urban Flyer 0-type」名義でのFacebookページが開設されました。そして7月8日に記念式典と出発式が行われ、営業運転を開始しました。

2012年にはグッドデザイン賞を受賞しています。

5次車は2012年に第21 - 23編成、2013年に第24編成が製造され、マイナーチェンジされた6次車は2019年に第25編成、2020年に第26 - 28編成が製造されました。2024年には新たに第29編成が営業運転を開始し、2024年3月現在、計9編成が運用されています。

2025年から2028年にかけてさらに6編成が導入され、残る1000形7編成を置き換える予定であることが発表されています。

10周年記念事業

千葉都市モノレールは、2022年7月8日に本形式が営業運転開始10周年を迎えたことを記念し、以下の事業を実施しました。

0形各編成に、それぞれ異なるデザインの記念ヘッドマークを掲出
乗降促進音の変更
記念乗車券の販売
千葉市動物公園との連携企画の実施

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