南沙織 スーパー・ベスト

2006年7月21日にSony Music Directより、規格品番DQCL-1112として発売された『南沙織 スーパー・ベスト』は、日本のアイドル歌手、南沙織の活動期であった1970年代に発表されたシングルのA面曲を中心に構成されたベストアルバムです。

本作の特徴として、通常のレコード店やCDショップでの販売ルートに加え、全国各地の高速道路内売店やホームセンターといった、普段CDを取り扱わないような場所でも広く流通した点が挙げられます。これは、MHCLで始まる品番を持つソニー・ミュージック関連の他の南沙織ベスト盤とは明確に異なる販売戦略が取られたことを示唆しており、多様な顧客層へのアプローチを意図した企画であったと考えられます。

アルバムのアートワークについては、1971年12月5日にリリースされた彼女の2枚目のスタジオアルバム『潮風のメロディ』（規格品番SOND-66074）のジャケット写真に用いられたものとは別のカットが使用されています。また、封入されている歌詞ブックレットには、「傷つく世代」の楽曲タイトルが「傷つく時代」と誤って表記されている箇所が存在します。

収録曲の選定においては、1986年5月21日に発売されたベストアルバム『南沙織ベスト・コレクション』の内容がベースとなっています。具体的には、『南沙織ベスト・コレクション』から「想い出通り」を除く一方、「夏の感情」と「女性」の2曲を新たに追加することで、本アルバムの全16曲が構成されました。過去のヒットセレクションを踏まえつつ、一部収録曲を入れ替えることで、新たなベスト盤としての魅力を打ち出しています。

本作は、当時ソニーレコードグループが原盤権を管理していた多数のアーティストの音源を用いて企画された“スーパー・ベスト”シリーズの一環としてリリースされました。このシリーズでは、南沙織以外にも太田裕美、キャンディーズ、天地真理といった、昭和を彩った人気歌手たちのベスト盤が同時に発売されています。さらに、本作の発売からおよそ2ヶ月後の2006年9月21日には、より収録曲数を絞ったミニ・ベストシリーズである“BEST OF BEST”がソニー・ミュージックダイレクトから複数タイトル発売され、その中には『南沙織 BEST OF BEST』も含まれていました。これは、様々な価格帯やコンセプトのベスト盤を市場に投入し、幅広いニーズに対応しようとする販売戦略であったと言えます。

本アルバムに収録されている楽曲は以下の通りです。デビュー曲「17才」をはじめとする初期の代表曲から、キャリア後期の人気曲まで、1970年代の南沙織の音楽活動を代表するシングルA面曲が網羅されています。特に有馬三恵子の作詞と筒美京平の作曲・編曲による作品が多くを占めていますが、他の作家陣による名曲も含まれています。

17才
潮風のメロディ
ともだち
純潔
哀愁のページ
早春の港
傷つく世代
色づく街
ひとかけらの純情
バラのかげり
夏の感情
夜霧の街
女性
人恋しくて
哀しい妖精
春の予感‐I've been mellow‐

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