バラのかげり

南沙織の音楽活動において、1974年の第一弾シングルとして発表されたのが「バラのかげり」です。この楽曲は彼女にとって通算11作目にあたり、同年3月21日にCBS・ソニーより発売されました。

シングルの両面に収録された楽曲は、いずれも作詞を有馬三恵子氏が、作曲を筒美京平氏が担当しています。筒美京平氏は、南沙織の初期ヒット曲の多くを手がけ、その成功に大きく貢献した作家として知られています。特に、A面タイトル曲「バラのかげり」では筒美京平氏自身が編曲も兼任していますが、B面曲の「この街にひとり」では萩田光雄氏が編曲を担当しており、同じ作詞・作曲家による作品でありながら、それぞれ異なるサウンドアプローチが採られています。

「バラのかげり」というタイトルからは、どこか憂いを帯びた、あるいは感傷的な情景が思い浮かばれます。この楽曲は、そのリリース以来、多くの音楽ファンに親しまれ、南沙織の代表曲の一つとして認知されています。その人気を示すように、本楽曲はオリジナルアルバム『夏の感情』への収録はもちろんのこと、その後のキャリアを通じてリリースされた様々なベストアルバムや企画盤に数多く収められています。

具体的には、以下のようなアルバムやコンピレーションに「バラのかげり」が収録されています。

『夏の感情』
『南沙織ヒット全曲集 -1974年版-』
『南沙織デラックス』
『Best of Best 南沙織のすべて』
『南沙織ヒット全曲集 -1976年版-』
『シンシアのハーモニー』
『シンシア・ラブ』
『THE BEST / 南沙織 -1978年11月版-|THE BEST _ 南沙織 -1978年11月版-』
『THE BEST / 南沙織 -1979年11月版-|THE BEST _ 南沙織 -1979年11月版-』
『南沙織のすべて』
『南沙織ベスト・コレクション』
『南沙織ベスト Recall 〜28 SINGLES SAORI + 1〜』
『Cynthia Memories』
『GOLDEN J-POP/THE BEST 南沙織|GOLDEN J-POP_THE BEST 南沙織』
『CYNTHIA ANTHOLOGY』
『GOLDEN☆BEST 南沙織 筒美京平を歌う』
『南沙織 THE BEST 〜 Cynthia-ly』
『ドーナツ盤型12cmCDコレクション』
『Cynthia Premium』
『南沙織 スーパー・ベスト』
『GOLDEN☆BEST 南沙織 コンプリート・シングルコレクション』
『南沙織 スーパー・ヒット』
『ゴールデン☆アイドル 南沙織』
『CYNTHIA ALIVE』

さらに、オリジナル音源に加えて、『TSU-TSU MIX 南沙織』には「バラのかげり (ノンストップmix Ver.)」としてリミックス版が、またライブアルバム『CYNTHIA IN CONCERT』にはライブバージョンが収録されるなど、多様な形態で再リリースされています。

シングルのB面に収録された「この街にひとり」もまた、オリジナルアルバム『夏の感情』をはじめ、『Cynthia Memories』、『CYNTHIA ANTHOLOGY』、『GOLDEN☆BEST 南沙織 筒美京平を歌う』、『ドーナツ盤型12cmCDコレクション』、『Cynthia Premium』、『ゴールデン☆アイドル 南沙織』といった複数のアルバムに収録されており、A面曲と共に楽曲としての評価が高かったことがうかがえます。

本楽曲がリリースされた1974年は、南沙織が小柳ルミ子、天地真理と共に「新三人娘」として日本のアイドルシーンを牽引していた時期にあたります。この時代の音楽を語る上で重要な位置を占める一曲と言えるでしょう。また、当時「新三人娘」の一員として人気を博していた麻丘めぐみ氏が、「バラのかげり」をカバーしていることも特筆すべき点です。これは、当時のアイドル文化における楽曲の共有や影響関係を示す興味深いエピソードです。

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