南沙織ヒット全曲集 -1976年版-

南沙織ヒット全曲集 (1976年版)

1976年11月1日、CBSソニーからリリースされた南沙織のベストアルバムです。本作は、彼女のこれまでのキャリアの中から選ばれた、シングル曲10曲とオリジナルアルバムからの楽曲2曲、合わせて全12曲で構成されています。特に、ヒットシングルを網羅している点が大きな特徴です。

同名異盤との関連

本作は「南沙織ヒット全曲集」というタイトルですが、実はこれ以前にも、全く同じ名称を持つベストアルバムがリリースされています。具体的には、1974年11月1日発売のバージョンと、1975年11月1日発売のバージョンが存在します。

1974年版は4チャンネルステレオ対応の楽曲を含むなど、当時の音響技術を意識した内容でした。一方、1975年版は文字通りシングル曲に焦点を当てたセレクションとなっています。これらの先行する同名アルバムと、今回取り上げる1976年版は、タイトルは同じでも収録曲や構成において異なっています。そのため、これらを区別する際には、それぞれ「南沙織ヒット全曲集 -1974年版-」、「南沙織ヒット全曲集 -1975年版-」のように発売年を付記して参照されることがあります。

収録曲の特徴と現在の入手状況

本アルバムに収録されている楽曲の中で、特に注目すべき点の一つとして、「気がむけば電話して」がシングル・ヴァージョンで収録されていることが挙げられます。この曲は、本作と同年に発売された13thオリジナルアルバム『素顔のままで』（1976年4月21日発売）にも収録されていますが、そちらはアルバム・ヴァージョンであり、本作では異なるアレンジやミックスで楽しむことができます。

現在、この1976年版『南沙織ヒット全曲集』単体でのCD復刻は行われていません。しかし、幸いなことに、本作に収録されている全12曲は、他の形で既にCD化されており、現在でも入手が可能です。例えば、ソニー・ミュージックがインターネット通販向けに販売している6枚組CD-BOXセット『Cynthia Memories』には、本アルバムの全収録曲が網羅されています。ただし、『Cynthia Memories』に収録されている「哀愁のページ」は、本アルバムのバージョンとは異なる場合がありますので、その点はご注意ください。

収録曲リスト

本作に収録されている全12曲と、それぞれの制作に関わった作家陣は以下の通りです。

Side A

1. 哀しい妖精
作詞: 松本隆、作曲: ジャニス・イアン、編曲: 萩田光雄
2. ひとねむり
作詞: 落合恵子、作曲: 筒美京平、編曲: 林哲司
3. 哀愁のページ (1972年)
作詞: 有馬三恵子、作曲・編曲: 筒美京平
4. 夜霧の街 (1974年)
作詞: 有馬三恵子、作曲・編曲: 筒美京平
5. バラのかげり (1974年)
作詞: 有馬三恵子、作曲・編曲: 筒美京平
6. 人恋しくて (1975年)
作詞: 中里綴、作曲: 田山雅充、編曲: 水谷公生

Side B

1. 青春に恥じないように (1976年)
作詞: 荒井由実、作曲: 川口真、編曲: 萩田光雄
2. 青春の絆 (1975年)
作詞: 有馬三恵子、作曲: 梅垣達志、編曲: 馬飼野康二
※13thアルバム『素顔のままで』収録
3. 想い出通り (1973年)
作詞: 有馬三恵子、作曲: 筒美京平、編曲: 萩田光雄
4. 早春の港 (1973年)
作詞: 有馬三恵子、作曲・編曲: 筒美京平
5. 素顔のままで (1976年)
作詞: 中里綴、作曲: 田山雅充、編曲: 水谷公生
※13thアルバム『素顔のままで』収録
6. 気がむけば電話して (1976年)
作詞: 中里綴、作曲: 田山雅充、編曲: 萩田光雄

本作に関わった主な音楽家としては、多くの楽曲で作詞を手掛けた有馬三恵子、中里綴、作曲・編曲で南沙織サウンドを支えた筒美京平、田山雅充などが名を連ねています。また、荒井由実（松任谷由実）や松本隆といった当時第一線で活躍していた作詞家による楽曲も収録されており、1976年当時の南沙織の音楽性が凝縮された一枚と言えるでしょう。

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