南郷駅

南郷駅：西武ライオンズと地域が一体となった、歴史と活気あふれる駅

宮崎県日南市南郷町中村乙に位置するJR九州日南線・南郷駅は、単式ホーム1面1線と保線用側線1線を備えた地上駅です。古き良き時代の駅舎を残しつつ、地域活性化の取り組みによって、近年新たな魅力を放っています。

歴史と変遷

南郷駅の開業は1936年（昭和11年）3月1日に遡ります。当時、鉄道省志布志線（現在の日南線）の榎原駅～大堂津駅間の延伸に伴い誕生しました。その後、1952年（昭和27年）4月には駅舎の改築が完了。1963年（昭和38年）5月には志布志線の編入により、正式に日南線の駅となりました。

時代の流れとともに、1971年（昭和46年）2月には貨物取扱いが、1985年（昭和60年）3月には荷物扱いがそれぞれ廃止されました。国鉄分割民営化後の1987年（昭和62年）4月1日からは、JR九州の駅として運営されています。

1991年（平成3年）5月には無人駅となり、翌年には南郷町観光協会が入居。簡易委託駅として、観光協会が切符販売を行う体制が整いました。2009年10月には、特急列車「海幸山幸」の運行開始に合わせ駅舎のリニューアルが実施され、新たな出発を迎えました。

そして2020年（令和2年）2月、大きな転換期が訪れます。南郷町は長年にわたり西武ライオンズのキャンプ地として知られており、この地域活性化策として、地元高校生との協働による駅舎の再塗装が行われました。白と紺を基調としたデザインに、ライオンズのロゴマークが加わり、「ライオンズ南郷駅」という愛称が誕生しました。

この取り組みは、同じ日南市でキャンプを行う広島東洋カープの油津駅（「カープ油津駅」）の事例に続くものでしたが、高校生たちは「二番煎じにならない」という意気込みで、メットライフドームの備品などを取り入れるなど、工夫を凝らした点が特徴です。2022年（令和4年）4月1日には、JR九州宮崎支社に移管されました。

駅構造と利用状況

南郷駅は、特急「海幸山幸」の発着駅でもあります。しかし、棒線駅であるため、列車の留置は不可能です。そのため、油津駅間で回送列車が設定されており、当駅止まりの最終列車も同様の運用となっています。

2015年度の1日平均乗車人員は167人でした。近年は、観光客の増加や地域イベントなどによって、利用状況に変化が見られる可能性があります。

駅周辺環境

南郷駅周辺には、南郷町総合支所（旧・南郷町役場）、南郷郵便局、日南市立南郷小学校、日南市立南郷中学校など、生活に密着した施設が揃っています。さらに、目井津港や「港の駅めいつ」といった観光スポットも近くにあります。

そして、なんといっても西武ライオンズの春季キャンプ地である南郷スタジアムと、キャンプ宿舎である南郷プリンスホテルの存在が、南郷駅を語る上で欠かせません。これらの施設は、多くの野球ファンや観光客を呼び込み、地域経済の活性化に大きく貢献しています。日南海岸へのアクセスも容易であるため、観光拠点としての役割も果たしています。

隣の駅

南郷駅に隣接する駅は、大堂津駅と谷之口駅です。日南線を利用して、日南海岸や周辺地域へのアクセスが可能です。

まとめ

南郷駅は、歴史と伝統、そして地域活性化の取り組みが融合した、魅力あふれる駅です。西武ライオンズとのコラボレーションによって生まれた「ライオンズ南郷駅」は、単なる駅舎にとどまらず、地域のシンボル、そして観光の玄関口としての役割を担っています。今後も、地域住民や観光客にとって、なくてはならない存在として発展していくことが期待されます。

もう一度検索