志布志線

志布志線：廃止された国鉄の鉄道路線を辿る

志布志線は、かつて宮崎県都城市の西都城駅から鹿児島県曽於郡志布志町（現・志布志市）の志布志駅までを結んでいた、日本国有鉄道（国鉄）の鉄道路線でした。地方交通線として地域住民の足となっていましたが、国鉄再建法の施行により、1987年3月28日に全線が廃止されました。

路線概要（廃止時）

管轄: 日本国有鉄道
区間: 西都城 - 志布志 (38.6km)
軌間: 1067mm
駅数: 10駅（起終点駅を含む）
複線区間: なし（全線単線）
電化区間: なし（全線非電化）
閉塞方式: タブレット閉塞式
輸送密度: 1617人（1981年度）
営業係数: 847（1981年度）

運行形態（廃止時）

廃止時には、10往復の普通列車が運行していました。また、朝の上りと夜の下りには、日豊本線と志布志線を経由して西鹿児島（現在の鹿児島中央）と日南線油津間を直通する快速「大隅」が1本ずつ設定されていました。全列車が西都城～志布志間を通しで運転しており、区間運転は行われていませんでした。ただし、西都城側では、西鹿児島に直通する快速列車1往復を除く全列車が都城まで、志布志側では、普通列車下り4本・上り3本が宮崎まで、快速列車は上下とも油津まで日南線に直通していました（日南線内は普通列車として運行）。

使用車両（廃止時）

キハ47形
キハ58形

歴史

志布志線は、都城から太平洋岸の志布志へ向かう路線として、軽便鉄道法に基づき建設されました。1923年から1925年にかけて志布志までが開業しました。1932年には、国都東・西線が連絡し、現在の日豊本線ルートが完成したことに伴い、都城 - 西都城間が日豊本線に編入されました。また、現在の日南線となっている北郷 - 志布志間についても、当初は志布志線として開業した区間でしたが、1963年の日南線南宮崎 - 北郷間開業に伴い、同線に編入されました。この区間は、大隅線とともに、改正鉄道敷設法別表第126号に規定する予定線でした。

年表

1923年（大正12年）1月14日：都城 - 末吉間 (10.8km) が志布志線として開業。西都城駅、今町駅、末吉駅が新設。
1924年（大正13年）3月25日：末吉 - 大隅松山間 (13.3km) が延伸開業。岩川駅、大隅松山駅が新設。
1925年（大正14年）3月30日：大隅松山 - 志布志間 (17.0km) が延伸開業。縄瀬駅、安楽駅、志布志駅が新設。
1932年（昭和7年）12月6日：都城 - 西都城間 (2.5km) が日豊本線に編入。
1934年（昭和9年）4月1日：岩北駅が新設。
1935年（昭和10年）4月15日：志布志 - 榎原間 (28.5km) が延伸開業（後の日南線区間）。大隅夏井駅、福島今町駅、福島仲町駅、日向北方駅、日向大束駅、榎原駅が新設。
1936年（昭和11年）3月1日：榎原 - 大堂津間 (10.2km) が延伸開業（後の日南線区間）。南郷駅、大堂津駅が新設。
1937年（昭和12年）4月19日：大堂津 - 油津間 (4.3km) が延伸開業（後の日南線区間）。油津駅が新設。
1941年（昭和16年）10月28日：油津 - 北郷間 (13.5km) が延伸開業し全通（後の日南線区間）。油津 - 元油津間の貨物支線 (1.0km) が開業。吾田駅、飫肥駅、内之田駅、北郷駅、元油津駅（貨物駅）が新設。
1949年（昭和24年）1月15日：谷之口駅が新設（後の日南線区間）。
1949年（昭和24年）9月15日：福島高松仮乗降場が新設（後の日南線区間）。
1950年（昭和25年）1月10日：福島高松仮乗降場が駅に改称（後の日南線区間）。
1952年（昭和27年）1月1日：吾田駅が日南駅に改称（後の日南線区間）。
1955年（昭和30年）2月1日：気動車列車の運行が開始。
1959年（昭和34年）10月1日：縄瀬駅が伊崎田駅に、福島仲町駅が串間駅に改称（後の日南線区間）。
1960年（昭和35年）7月25日：油津 - 元油津間の貨物支線 (1.0km) が廃止（後の日南線区間）。
1960年（昭和35年）8月1日：中安楽駅が新設。
1963年（昭和38年）5月8日：志布志 - 北郷間 (56.5km) が日南線に編入され、西都城 - 志布志間 (38.6km) が志布志線となる。
1975年（昭和50年）1月20日：無煙化により蒸気機関車の運行が終了。
1983年（昭和58年）4月1日：全線 (38.6km) の貨物営業が廃止。
1984年（昭和59年）6月22日：第2次特定地方交通線として廃止が承認。
1987年（昭和62年）3月28日：全線 (38.6km) が廃止。鹿児島交通（後に三州自動車、現在は再び鹿児島交通）のバス路線に転換。

駅一覧

以下は、志布志線廃止時点での駅一覧です。接続路線の事業者名と駅の所在地も記載します。全普通列車が直通していた都城駅から記載します。営業キロは西都城駅からのものです。

都城駅（日豊本線）
西都城駅 (0.0km)
今町駅 (2.4km)
末吉駅 (13.2km)
岩川駅 (26.5km)
岩北駅 (29.2km)
大隅松山駅 (31.9km)
中安楽駅 (35.3km)
伊崎田駅 (36.2km)
安楽駅 (37.4km)
志布志駅 (38.6km)

快速「大隅」停車駅：●は停車、｜は通過
普通列車は全駅に停車

代替バス

現在、鹿児島交通が都城～志布志線として代替バスを運行しています。

都城駅 - 志布志駅前（全線通し）：上り3本、下り4本
末吉駅跡 - 志布志駅前：上下1往復
* 末吉駅跡 - 岩川：上下1往復

この他、都城駅 - 岩川間には鹿屋発着が6往復、岩川 - 志布志駅前間には鹿児島空港発着が4往復乗り入れています。

廃線後の状況

廃止後、西都城駅付近の公園から岩北駅付近までの区間が自転車・歩行者用道路として整備されており、西都城駅 - 県境付近までの区間（約6km）には「志布志線ウェルネスロード」、県境から岩北駅付近までの区間には「マインドロード末吉」の名称が付けられています。

脚注

日本の廃止[[鉄道路線一覧]]
都城志布志道路 - 志布志線とほぼ並行するルートで建設が進められている地域高規格道路。

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