南麂島

南麂島（ナンジとう）について

南麂島は、中国の浙江省温州市平陽県に属する美しい小島です。この島は東シナ海に位置し、最も近い陸地からは約30海里の距離にあります。南麂島は、中国大陸の領海基点のひとつとしても知られ、多彩な自然環境が魅力です。

概要

南麂島は、その美しさから「中国で最も美しい十大島」のひとつに選ばれた実績を持ち、周囲には52の大小さまざまな島々と数多くの暗礁が点在しています。島の総面積は11.13平方キロメートルで、自然が豊かで静かな環境が保たれています。特に夏季には観光客が訪れ、賑わいを見せます。沖縄県尖閣列島からおよそ300km北西に位置しており、両地域の地理的関係も注目されています。

これまでに多くの地図や書籍に登場しており、1922年の『中華大地図』では「南箕島」として紹介されています。また、日本で作成された地図の中では「南岐列島」と表記されたり、『三国通覧図説』では「南杞山」と名付けられたりするなど、名称の違いもありました。

南麂島は低い丘陵が特徴で、周囲の海には暖流が流れています。海岸には浅瀬や岩石海岸、砂浜や砂利浜、岩礁、干潟などが広がり、ビーチや海岸を楽しむことができます。また、豊富な海洋生物が生息しており、特に貝類や藻類、さらにはカラチョウザメやダブリーチョウザメ、シロハラウミワシ、クロサギといった多様な動植物が存在します。この豊かな生態系は、1998年にユネスコの生物圏保護区に指定され、2022年にはラムサール条約の登録地としても認められました。

交通アクセス

南麂島への交通は効率良く整備されており、最寄の鉄道駅は温福線の平陽駅です。そこから鰲江鎮の鰲江港客運站まで行くと、フェリーを利用して島にアクセスできます。さらに、2020年には、南麂島を一周する全長20キロの道路「虹の道路」が完成し、移動がさらに便利になりました。

軍事拠点化の進行

近年、この美しい島は中国政府によって軍事拠点として開発が進められています。2014年12月から整備に着手され、最新のレーダーシステムや超高速インターネット通信網が導入されています。同年秋には数百人の軍関係者が上陸し、ヘリポートや滑走路の建設も計画中です。これは日米との有事を想定した対応力の強化や、東シナ海上空での防空識別圏の監視を目的としているとされています。このため、陸海空の三軍を揃える方針が示されています。

日本人拘束事件

また、南麂島は2015年5月、日本人が中国海警に拘束されるという事件の舞台となったことがあります。愛知県出身のその男性は、軍事施設の周辺で写真を撮影していた際に現行犯として捕まります。結果、浙江省杭州市の中級人民法院では懲役12年の判決が下され、彼に対して860万円以上の資産没収が言い渡されました。

近年、南麂島は自然保護と共に新たな動きが見られる地域であり、今後の動向が注目されています。観光地としてだけではなく、軍事的な重要性も増しているこの島の情報は多方面から関心を集めています。

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