原田治

日本のイラストレーターとして広く知られる原田治（はらだ おさむ）は、1946年4月27日に東京都中央区築地で生まれました。母方の祖父は、サイレント映画期に活躍した映画監督の二川文太郎です。

幼い頃から絵を描くことに親しんでいた原田は、後に洋画家であり日本画家・川端玉章の孫にあたる川端実に師事し、基礎を学びました。青山学院の中等部・高等部を経て多摩美術大学でグラフィックデザインを専攻し卒業後、アメリカへ渡りイラストレーションを学びます。この海外での経験を通じて触れた文化やスタイルが、彼のその後の作品に見られる「アメリカナイズされた」と評されるポップな感覚の源泉となりました。

日本へ帰国後の1970年、創刊間もない雑誌「an・an」（マガジンハウス）にイラストが掲載されたことを機に、プロのイラストレーターとしてのキャリアを本格的に始動させます。彼の名を一躍有名にしたのは、1975年に発売を開始したキャラクターグッズ「OSAMU GOODS」です。イギリスの童謡であるマザー・グースの世界を題材に、シンプルながらも愛らしいキャラクターを生み出し、そのポップでキュートなデザインは若い女性を中心に絶大な支持を得て、日本の「かわいい」文化における象徴的な存在となりました。

また、雑誌「ビックリハウス」（パルコ出版）では、「明石町先生」というペンネームでイラストレーションの連載を担当しました。編集部のスタッフを描いたユニークな似顔絵イラストは読者から高い人気を集めました。1979年には、「ビックリハウス」の編集に携わっていた安西水丸、ペーター佐藤、アートディレクターの新谷雅弘らと共に、イラストレーターの育成を目指すユニット「パレットクラブ」を結成。この活動は、後に彼の生地である築地に開校したイラストレーター養成学校「パレットクラブスクール」の基盤となりました。

自身の創作活動と並行して、「パレットクラブスクール」で講師として後進の指導にもあたります。著作としては、自身のイラスト集の出版に加え、児童向けの絵本の挿絵も多数手がけました。

企業とのコラボレーションも多岐にわたり、彼の生み出したキャラクターやイラストは多くの商品や広告に使用されました。特に有名なものに、ミスタードーナツのプレミアムグッズ、カルビーポテトチップスの「ポテト君」、崎陽軒の「ひょうちゃん」（シウマイの醤油入れ）へのイラスト提供などがあります。その他にも、ECCジュニア、日立製作所のエアコン「白くまくん」、東急電鉄の注意喚起ステッカー、味の素のマーガリン「マリーナ」、大村競艇場のマスコット「ターンマーク坊や」、コージー本舗など、様々な分野で彼のイラストレーションを目にすることができました。

OSAMU GOODS誕生40周年を記念した展覧会『オサムグッズの原田治展』が、彼の生前である2016年7月から9月にかけて弥生美術館で開催されました。そして、その年の11月24日に70歳で逝去されたことが、翌2017年2月10日付の毎日新聞で報じられました。没後もなお彼の人気は衰えず、2019年7月13日からは世田谷文学館を皮切りに、大規模な展覧会「原田治展「かわいい」の発見」が全国を巡回し、多くの来場者を集めています。彼の作品は、時代を超えて人々に「かわいい」ことの楽しさや豊かさを伝え続けています。

著作

• - ぼくの美術帖（パルコ出版、新版・みすず書房）
• - オサムグッズスタイル（ピエブックス）

絵本挿絵

• - かさ（松野正子作、福音館書店）
• - ももたろう（蘭巴作、小学館）
• - ハイク犬（石津ちひろ作、学習研究社）

作品を採用している企業・商品例

• - ミスタードーナツ
• - カルビーポテトチップス「ポテト君（じゃがいもくん、ポテト坊や）」
• - ウェルカム・バスケット
• - 崎陽軒（シウマイの醤油入れ「ひょうちゃん」）
• - ECCジュニア
• - 日立製作所（エアコン「白くまくん」）
• - 東急電鉄車両ドア付近の注意喚起ステッカー
• - 味の素（マーガリン「マリーナ」）
• - 大村競艇場（マスコット「ターンマーク坊や」）
• - コージー本舗

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