友を待つ

ローリング・ストーンズ「友を待つ」：友情と音楽の軌跡

ローリング・ストーンズの楽曲「友を待つ」(Waiting on a Friend)は、1981年発表のアルバム『刺青の男』に収録された名曲です。ミック・ジャガーとキース・リチャーズによる作詞作曲で、バンドの深いつながりを歌った、温かくも力強い一曲として知られています。

長い道のり：複雑なレコーディング

この楽曲のレコーディングは、非常に複雑な経緯を辿りました。その始まりは1972年、ジャマイカのキングストンにあるダイナミック・スタジオまで遡ります。アルバム『山羊の頭のスープ』のセッション中に録音されたベーシックトラックが、後に『刺青の男』のために完成へと導かれたのです。ジャガー自身も語っているように、1972年時点では歌詞がなく、完成形へと至るまでには、パリとニューヨークでのレコーディングを重ねる必要がありました。

パリのパテ・マルコーニスタジオ、そしてニューヨークのアトランティック・スタジオでのオーバーダブを経て、1980年から1981年にかけて完成した「友を待つ」。そこに加わったのが、ソニー・ロリンズによるサックスとマイク・カラベロによるパーカッションです。彼らの演奏は楽曲に深みと彩りを加え、完成度を高めました。

興味深いのは、ミック・テイラーの参加についてです。1972年のレコーディングには参加していたものの、『刺青の男』発表時にはクレジットされず、その後の印税問題に発展するなど、複雑な歴史があります。テイラー本人は参加を主張する一方、参加していないという説も存在し、様々な憶測を生むことになりました。

ミュージックビデオ：友情の物語

「友を待つ」のプロモーションビデオは、歌詞の内容を見事に映像化した作品です。マイケル・リンゼイ＝ホッグ監督のもと、ジャガーがリチャーズを待つシーンから始まり、二人が他のメンバーと合流し、演奏を始めるというシンプルな構成。ニューヨークのセント・マークス・プレイスにあるアパートが舞台となり、レッド・ツェッペリンのアルバム『フィジカル・グラフィティ』のジャケット写真にも使われた建物が使用されているという、音楽史における興味深い繋がりも存在します。また、レゲエミュージシャンのピーター・トッシュも出演しており、楽曲の世界観を広げる要素となっています。YouTubeのストーンズ公式ページで視聴可能です。

ライブパフォーマンス：時代を超えて

「友を待つ」は、1981年の世界ツアーから演奏されるようになり、その後長らくセットリストから外れていた時期もありました。しかし、1997年の『ブリッジズ・トゥ・バビロン・ツアー』で再び演奏され、以降も数々のツアーで披露されています。ライブアルバム『ノー・セキュリティ』にも収録されており、その人気の高さがうかがえます。『レッツ・スペンド・ザ・ナイト・トゥゲザー』という映画にも、1981年ツアーでのライブ映像が収録されています。

参加ミュージシャン：豪華な顔ぶれ

「友を待つ」には、ローリング・ストーンズのメンバーに加え、多くのミュージシャンが参加しています。

ミック・ジャガー：リード＆バッキングボーカル
キース・リチャーズ：エレキギター、バッキングボーカル
ビル・ワイマン：ベース
チャーリー・ワッツ：ドラムス
ミック・テイラー：エレキギター（不確定）
ソニー・ロリンズ：サックス
ニッキー・ホプキンス：ピアノ
マイク・カラベロ：パーカッション
* キャスパー・ウィンディング：タンブリン

これらのミュージシャンの卓越した演奏によって、楽曲は完成度の高いものへと昇華しました。

「友を待つ」は、単なる楽曲を超えた、ローリング・ストーンズの友情と音楽性の深みを感じさせる作品です。その複雑なレコーディングの歴史、印象的なミュージックビデオ、そしてライブでの熱狂的なパフォーマンスは、時代を超えて聴き継がれるに値する、まさに名曲と言えるでしょう。

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