台中捷運中運量電車

台中捷運中運量電車

台中捷運中運量電車は、台湾・台中市における初の捷運（都市鉄道）路線である台中捷運緑線で使用される通勤型電車です。2020年に開業を迎えましたが、開業直前に連結器の不具合が発生し、一時運行が中断されるなどのトラブルもありました。

概要

台中捷運緑線は、台中市における初の捷運路線として、2020年の開業を目指して建設が進められました。この路線で使用される車両として、台中市と交通部の委託を受け、台北市政府捷運工程局が調達を担当しました。車両の製造は川崎重工業がアルストムとコンソーシアムを組んで担当し、2両編成18本、合計36両が導入されました。また、そのうちの半数は台湾の車両メーカーである台湾車輌が製造を担当しました。

2017年1月には川崎重工業の兵庫工場で車両のロールアウト式典が開催され、その後、海上輸送を経て台中港に陸揚げされました。陸揚げ後には、市内の道路で車両が展示され、その後、北屯機廠へと搬入されました。2017年12月には、川崎重工業と台湾車輌の両社によって、全18編成の納入が完了しています。

2017年10月には、神戸製鋼所でのデータ改ざん事件を受け、台中市政府交通局が車両の品質確認を行いましたが、異常は確認されなかったことが公表されています。

当形式は、台北捷運の文湖線および環状線に続く、中量軌道輸送システム（中運量捷運）規格としては3例目となります。また、同規格による第三軌条方式、標準軌（軌間1,435mm）の鉄輪式ライトメトロ（LRRT）としては、台北捷運環状線電車に次ぐ2例目となります。アルストムの移動閉塞（CBTC）ブランド「Urbalis400」を採用しており、全線で最短90秒間隔での無人自動運転に対応し、短時間での大量輸送を実現しています。

ドア数の増加と座席数の減少により、短い編成でも高い輸送力を確保している点が特徴です。台湾各都市の中運量形式と比較しても、多くの点で差異が見られます。

仕様

車両は、幅1.51メートルの外開きプラグドアを片側5箇所に備えています。ドアの間には5人掛けのロングシートが設置されており、1両あたりの座席定員は41人です。座席は、一般席と博愛座（優先席）に分かれており、それぞれ異なる色のシートが採用されています。

配属

導入された全ての車両は、北屯機廠に配属されています。

トラブル

連結器の不具合

プレ開業から6日目の2020年11月21日、車両同士を連結する半永久連結器の部品に不具合が発生しました。この不具合を受けて、台中捷運公司（中捷公司）は翌22日から全線で運行を中断しました。破損した連結器部品は、川崎重工業がアメリカの鉄道車両部品大手であるワブテック社から調達したもので、同様のものは台北捷運の各形式でも採用されていました。

この問題に対し、台北市政府捷運工程局機電処は、「台北では20数年来一度も発生していない」と述べています。同年12月14日には、台中市長の盧秀燕氏らが会見を開き、原因が究明されていないこと、そして安全を最優先するため、5日後に迫っていた正式開業を断念することを発表しました。同時に、市民への謝罪とともに、車両製造の川崎重工業、連結器製造のワブテック社、機電工程を監督する台北市捷運工程局に対し、早期の改善を要求していくと表明しました。

その後の調査で、連結器のシャフトの強度不足が原因であることが判明しました。このシャフトが中国製ではないかとの疑念に対して、台北市捷運局は「川重からの報告によると、『製造過程での熱処理に問題があった』、『グローバル企業であるワブテックの各拠点では本国と同等の品質管理が行われている』と聞いている」と述べるにとどまりました。

このトラブルによる損失については、請求権と監督権を持つ台北市捷運局が川崎重工業への賠償請求を代行すると表明しました。

2020年12月19日には、台中市交通局および中捷公司が、該当する部品をワブテック社の新品に交換することを川崎重工業に要求しました。さらに、翌年2月9日までに全ての部品をフランス製のものに交換し、検証を経て正式開業時期を改めて判断すると発表しました。

2021年1月14日には、部品交換を終えた編成の試運転が再開されました。累積100kmの試運転後に一旦検査を行い、その後300kmの再試験を経て、全18編成の交換と耐久性確認が同年2月2日までに完了する予定とされました。

2021年3月6日、台北市政府が前日に提出した報告書の審議が台中市政府で承認され、プレ営業再開の見通しが立ちました。

脚注

出典

関連項目

* 台中捷運

もう一度検索