台湾総督府医学校

台湾総督府医学校

台湾総督府医学校は、1898年3月に設立された台湾初の正規医学教育機関です。現在の国立台湾大学医学院の前身にあたります。

設立の背景

1895年6月、台湾総督府による台湾統治が開始され、その4日後には台北大稲埕に大日本台湾病院が設置されました。日本本土から医師や薬剤師、看護師が派遣され、医療体制の整備が進められました。1897年4月には、台湾での医師養成を目的として病院内に医学講習所が設けられました。そして、第4代台湾総督である児玉源太郎と民政局長の後藤新平による児玉・後藤政治の下、1898年3月に台湾総督府医学校が設立されました。同時に、付属病院は台湾総督府台北医院に改称されました。

教育制度

医学校の修業年限は4年で、予科1年が別に設けられました。第一期生として70名の学生が募集され、当初は台湾人のみが対象とされていました。一般的に、植民地教育では原住民の初等教育よりも高等教育が重視される傾向があります。これは、統治を円滑に進めるための人材育成と同時に、一般庶民を教育から遠ざけ、統治者の都合の良いように社会を形成するための方策でした。台湾総督府医学校は、当時の台湾において、台湾人を対象とした唯一の高等教育機関でした。

その後の変遷

台湾総督府医学校は、その後、台湾総督府医学専門学校、台北医学専門学校、台北帝国大学附属医学専門部と名称を変え、最終的に現在の台湾大学医学院へと発展しました。その歴史は、台湾における医学教育の発展を物語る上で非常に重要な要素です。

校長

歴代の校長は以下の通りです。

（兼）山口秀高：1899年4月1日 -
（心得）松尾知明：1902年1月16日 - 4月7日
（兼）高木友枝：1902年3月31日 - 1907年8月23日
高木友枝：1907年8月23日 - 1912年2月28日
（兼）高木友枝：1912年2月28日 - 1915年3月31日
堀内次雄：1915年3月31日 -

教員

丸山芳登（教授）
岸一太（教授）

主な出身者

多くの卒業生が、台湾の政治、社会、文化、医学の分野で活躍しました。

政治
台湾文化協会
蔣渭水
呉海水
林麗明
林瑞西
台湾民衆党
韓石泉
王受禄
農民運動
李応章
黄信国
その他
吉野高善（八重山民政府知事）
文化・学術
文学：頼和
医学：杜聡明

台湾総督府医学校は、台湾の医学教育の基礎を築いただけでなく、多くの優れた人材を輩出し、その後の台湾社会の発展に大きく貢献しました。

参考文献

『官報』

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