司馬乂

司馬乂（しば がい）：西晋、八王の乱における悲劇の皇族

司馬乂（277年 - 304年）は、西晋時代の皇族であり、八王の乱と呼ばれる内乱において重要な役割を果たした人物です。武帝司馬炎の第17子として生まれ、その生涯は権力闘争と悲劇的な結末に彩られています。

生涯

若き日

司馬乂は、太康10年（289年）に長沙王に封じられました。父である武帝の崩御後、司馬乂は幼いながらも父を深く敬慕する態度を示したと伝えられています。その後、司馬倫が帝位を簒奪すると、司馬乂は他の諸王と共に司馬倫討伐に加担しました。

三王との協力

司馬倫討伐後、司馬冏が朝政を主導するようになると、司馬乂は司馬穎と共に司馬冏の専横を批判しました。司馬冏の専横に不満を抱いた司馬顒が挙兵すると、司馬乂はこれに応じ、司馬冏を討ち取るという功績を挙げました。

司馬冏の誅殺

司馬乂は司馬冏を討ち取ることで朝廷内での地位を確立しましたが、自らは政治の実権を握らず、司馬穎に一任しました。しかし、司馬穎が権力独占を画策し、司馬顒と結託して司馬乂を討伐しようとすると、司馬乂は恵帝を奉じて鎮圧に当たりました。

司馬穎・司馬顒との対立

司馬乂は司馬穎・司馬顒との内戦で当初優勢でしたが、東海王司馬越の裏切りにより捕らえられ、処刑されました。司馬乂の死は、八王の乱をさらに激化させる要因となりました。

最期

司馬乂は司馬穎との戦いで連勝し、多数の敵兵を討ち取るなどの戦果を挙げましたが、司馬越の裏切りにより捕らえられ、焼き殺されるという悲劇的な最期を迎えました。彼の無実を訴える叫びは、周囲に深い悲しみを与えたと伝えられています。

評価

司馬乂は、明朗果断で、賢士を敬う人物として評価されています。八王の乱の他の王たちが国家衰退の元凶として批判される中で、司馬乂は忠臣として称賛されています。

逸話

司馬乂が権力を握った頃、「草木が萌芽する頃に長沙は殺される」という歌が流行しました。司馬乂は長沙王であり、実際に春の初めに殺害されたことから、この歌が予言していたと言われています。

宗室

長沙王 司馬碩
臨淮王 司馬尟

司馬乂の生涯は、西晋の内乱期における皇族の苦悩と悲劇を象徴するものとして、後世に語り継がれています。

参考文献
『晋書』巻59 列伝第29
『資治通鑑』巻82 - 巻85

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