司馬威

司馬威（しば い）

司馬威（生年不詳 - 301年）は、西晋時代の皇族であり、字を景曜、幼名を阿皮と称しました。彼は安平献王司馬孚を曾祖父、義陽成王司馬望を祖父、河間平王司馬洪を父に持ちます。

生涯

司馬威は、生まれつき残忍で道徳を重んじない人物であったと伝えられています。父の司馬洪が亡くなった咸寧2年（276年）に河間王を継ぎ、翌咸寧3年（277年）には章武王に改封されました。太康9年（288年）には、従兄弟の司馬奇が罪を受けたため、代わりに義陽王に封じられました。

司馬威は趙王司馬倫に取り入り、その信任を得て、元康10年（299年）に散騎常侍に任じられました。司馬倫が皇后賈南風一派を誅殺し政権を掌握すると、司馬威は侍中に抜擢され、司馬倫の側近として重用されるようになります。

永康2年（301年）1月、司馬倫が帝位簒奪を企てると、司馬威は宮殿に派遣され、恵帝に禅詔を書くよう迫りました。また、黄門郎の駱休らに恵帝の印章と組綬を渡すよう強要しました。司馬威の尽力により司馬倫の禅譲は成功し、彼は中書令に任じられました。

しかし、同年3月、斉王司馬冏、成都王司馬穎、河間王司馬顒の三王が司馬倫誅殺を掲げて挙兵すると、司馬威は司馬倫の側近であった孫秀に対し、尚書省と八座と共に今後の対応を協議するよう進言しました。孫秀はこの進言に従いましたが、洛陽城内の百官や諸将は司馬倫と孫秀の殺害を目論んでおり、司馬威はこれを知ると身の危険を感じて崇礼門を出て自宅に逃げ帰りました。

同年4月、左衛将軍の王輿と尚書・広陵公司馬漼が政変を起こし、司馬倫を廃位して恵帝を復位させました。恵帝は司馬威が禅譲を強要したことを深く恨んでおり、「阿皮（司馬威の幼名）は無理矢理我の手指を開かせ、璽綬を争奪した。これを殺さずにはおれぬ」と述べ、司馬威の誅殺を命じました。これにより、司馬威は処刑され、その生涯を終えました。

司馬威は、司馬倫の簒奪を助けたことで一時的に権力を握りましたが、その強引な手法が恵帝の恨みを買い、最終的には悲劇的な結末を迎えることとなりました。彼の生涯は、西晋の内乱期における権力闘争の激しさを物語る一例と言えるでしょう。

参考文献

『晋書』巻59 列伝第29、巻37 列伝第7
『資治通鑑』巻84

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