賈南風

賈南風（か なんぷう）：西晋を揺るがした皇后の生涯

賈南風（257年 - 300年）は、西晋の第2代皇帝である恵帝の皇后です。彼女は、西晋初期の政治を大きく揺るがした人物として知られています。

生い立ちと皇后擁立の陰謀

賈南風は、魏の時代からの高官である賈充の娘として生まれました。容姿は醜く、嫉妬深い性格だったと伝えられています。しかし、彼女の母である郭槐は、娘を皇太子司馬衷（後の恵帝）の妃にするために、皇后への賄賂や、賈充の功績を強調するなど、あらゆる手段を講じました。司馬炎（武帝）は当初、衛瓘の娘を妃に考えていましたが、最終的には郭槐らの工作が功を奏し、賈南風は太子妃に立てられることになりました。

皇后として

290年に武帝が崩御し、司馬衷が恵帝として即位すると、賈南風は皇后に立てられました。恵帝は暗愚であり、政治の実権は外戚の楊駿が握っていました。しかし、賈南風は孟観、李肇、董猛といった人物と共謀し、クーデターを画策。汝南王司馬亮や楚王司馬瑋を巻き込み、楊駿一派を粛清しました。

権力掌握と専横

楊駿一派の粛清後、賈南風は政治の実権を掌握しました。しかし、彼女の統治は専横を極め、反対勢力を次々と排除しました。衛瓘や司馬亮を陥れ、殺害。賈謐ら一族とともに、朝廷を牛耳りました。しかし、張華や裴頠といった有能な官僚を登用したため、国政は比較的安定していたとも言われています。

皇太子殺害と失脚

賈南風は男子を産むことができず、皇太子司馬遹は側室の子でした。司馬遹は聡明であり、賈南風は彼を疎んじていました。賈南風は趙粲・賈午と謀議して司馬遹を陥れる計画を練り、酔わせて偽の詔を書かせ、廃太子に追い込みました。さらに、司馬遹を暗殺し、政敵を排除しようとしました。

八王の乱の引き金、そして最期

皇太子殺害は、皇族や臣下の間に大きな不満を引き起こしました。趙王司馬倫は、この機に乗じてクーデターを起こし、賈南風一派を捕らえました。賈南風は庶人に落とされ、幽閉された後、毒殺されました。彼女の死は、西晋の内乱である八王の乱の引き金となり、西晋王朝の衰退を招くことになりました。

逸話

賈南風には、数々の逸話が残されています。その一つに、彼女が若い男性を宮中に連れ込み、密会を重ねていたという話があります。秘密を守るため、関係を持った男性を殺害していたとも伝えられています。

まとめ

賈南風は、西晋の政治を大きく揺るがした悪女として歴史に名を残しました。彼女の権力欲と嫉妬心は、西晋王朝を滅亡へと導く一因となったと言えるでしょう。

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