司馬覲

司馬覲（しば きん）は、西晋時代の重要な人物です。彼の生涯と、その後の東晋王朝の成立に繋がる事績を以下に解説します。

生涯

司馬覲は、甘露元年（256年）に生まれ、太熙元年2月12日（290年3月9日）に35歳で亡くなりました。字は思祖といい、琅邪王司馬伷の子として生まれました。母は諸葛誕の娘である諸葛太妃、妻は夏侯威の娘である夏侯光姫です。彼には、後に東晋の元帝となる司馬睿と、司馬渾という二人の息子がいました。諡号は恭王です。

太康4年（283年）、父である司馬伷が急死したため、司馬覲は琅邪王の王位を継承しました。その際、父の遺命に従い、3人の弟たちに領土を分け与え、それぞれを王として封じました。この措置は、一族の結束を固め、領土を安定させることを目的としたと考えられます。また、冗従僕射にも任命されましたが、太熙元年（290年）に35歳という若さで急逝しました。

司馬睿の即位と東晋の成立

司馬覲の死後、間もなくして八王の乱と永嘉の乱が勃発し、晋朝とその領土である江北は大混乱に陥りました。この混乱を避けるため、司馬覲の長男である司馬睿は江南へと逃れました。この「五馬渡江」と呼ばれる出来事は、後の東晋王朝成立の重要な契機となります。司馬睿は江南で勢力を拡大し、西晋王朝が崩壊した後、自ら皇帝に即位し（東晋の元帝）、東晋王朝を樹立しました。

琅邪国のその後

琅邪国は、司馬睿が皇帝となったことで、東晋王朝において非常に重要な縁戚としての地位を確立しました。琅邪国は東晋の末期まで存続し、王朝の安定に貢献しました。司馬覲のもう一人の息子である司馬渾は、司馬覲の弟である東安王司馬繇が永安元年（304年）に成都王司馬穎に殺害された後、その後継者がいなかったため、東安王位を受け継ぎました。しかし、司馬渾もまた子がないまま早世したため、東安国は廃止されることとなりました。

司馬覲の生涯は短いものでしたが、彼の息子である司馬睿が東晋を建国したこと、そして琅邪国が東晋王朝において重要な役割を果たしたことは、歴史的に大きな意味を持っています。彼は、激動の時代において、一族の存続と新たな王朝の礎を築いた人物として記憶されるべきでしょう。

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