司馬繇

司馬繇（しば よう）

司馬繇（生年不詳 - 永安元年8月3日（304年9月18日））は、西晋時代の皇族であり、字を思玄と称しました。彼は、司馬懿の孫であり、琅邪王司馬伷の三男として生まれ、後の元帝司馬睿の叔父にあたります。母は諸葛誕の娘でした。

生涯

司馬繇は立派なひげを持ち、剛毅な性格で人望を集め、博学多才な人物として知られていました。また、親孝行でも評判が高く、喪に服する際には礼を尽くしたと伝えられています。

彼は初め東安公に任じられ、散騎黄門侍郎、散騎常侍といった官職を歴任しました。元康元年（291年）3月、恵帝司馬衷の皇后であった賈南風が、武帝司馬炎の外戚である楊駿の権勢を妬み、宦官の董猛、孟観、李肇や楚王司馬瑋と結託して政変を起こしました。この時、司馬繇は殿中の兵四百人を率いてこの政変に加担し、雲龍門を制圧して諸軍を統率する役割を果たしました。楊駿一派が誅殺されると、その功績により右衛将軍に任じられ、射声校尉を兼任し、東安王に進封されて2万戸を加増されました。その後、侍中を加えられ、典軍大将軍を兼任し、右衛将軍の職もそのまま務めました。さらに尚書右僕射に昇進し、散騎常侍を加えられました。

楊駿誅殺の際、300人余りが恩賞を与えられるか、あるいは誅殺されるかの判断が下されましたが、これらの決定は全て司馬繇の思惑によるものだったとされています。東夷校尉であった文鴦の父である文欽は、かつて司馬繇の母方の祖父である諸葛誕に殺されたことがありました。そのため、司馬繇は文鴦が母の一族に災いをもたらすことを恐れ、罪のない文鴦を誅殺し、その三族を皆殺しにするという悲劇を引き起こしました。

兄の東武公司馬澹は以前から司馬繇を恨んでおり、伯父の汝南王司馬亮に幾度も司馬繇を誣告しましたが、聞き入れられませんでした。しかし、司馬繇が賞罰を独断で行うようになると、司馬澹は改めて「弟の東安公は賞罰を勝手に行い、朝政を壟断しようとしております」と司馬亮に訴え、これを謗りました。司馬亮はこれを信じて司馬繇を免官とし、公の爵位のまま家に帰らせました。この時、司馬繇が道義に外れる発言を行ったため、爵位を剥奪され、帯方郡へ流されることとなりました。

永康元年（300年）9月、司馬繇は朝廷より召還されて復位し、宗正卿に任じられました。さらに尚書となり、左僕射に移りました。その後、母の喪により鄴に入り、成都王司馬穎の傘下となりました。

永安元年（304年）7月、東海王司馬越が司馬穎討伐を掲げ、右衛将軍陳眕・司馬乂の旧将上官巳らと共に恵帝を奉じて挙兵しました。司馬穎は幕僚と軍議を開くと、司馬繇は「天子が親征しているのです。武装を解いて出迎え、罪を請うべきでしょう」と諫言しましたが、司馬穎は聞き入れませんでした。司馬穎は皇帝軍に勝利すると、恵帝に謝罪するよう進言した司馬繇を怨み、捕らえて処刑しました。

司馬繇には男子がいなかったため、兄の琅邪王司馬覲の子である長楽亭侯司馬渾を東安王に封じて跡を継がせましたが、間もなく死去しました。

参考文献

『晋書』巻59 列伝第29、巻38 列伝第68
『資治通鑑』巻82 - 巻85
* 中国の思想刊行委員会『三国志全人名事典』（徳間書店、1994年11月）

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