吉年滝徳

吉年 滝徳

吉年 滝徳（よしとし たきのり）は、1977年10月13日に岡山県総社市で生まれた元プロ野球選手（投手）です。高校時代に全国の舞台で躍動し、プロ野球への道を切り拓きました。

プロ入り前

野球との出会いは小学校1年生の時、地元のスポーツ少年団で軟式野球を始めたことに遡ります。総社西中学校を経て関西高校に進学すると、投手としての才能を開花させます。特に、毎日150球の投げ込みを続けることで下半身とスタミナを徹底的に強化しました。その成果もあり、2年生の夏にはチームのエースとして第76回全国高等学校野球選手権大会に出場。初戦の八戸高校戦では13個の三振を奪う快投を見せましたが、続く2回戦で佐賀商業高校に惜敗しました。同年冬にはAAAアジア選手権の日本代表に選出され、海外遠征を通じて制球力など投手としての総合力が磨かれました。

3年生となった春、第67回選抜高等学校野球大会では、全国でも有数の好左腕として注目を集めました。初戦の清陵情報高校戦では毎回の奪三振となる13個を記録し、完投勝利を収めます。続く2回戦では報徳学園を相手に5安打に抑え込む完投勝利を挙げ、チームをベスト4進出へと導きました。しかし、この大会の途中で投球フォームに変更を加えたことが影響し、準々決勝の終盤から左ひじと背中に張りを覚えるようになります。この影響もあり、準決勝では久保尚志投手を擁する観音寺中央高校に敗れ、決勝進出はなりませんでした。夏の第77回全国高等学校野球選手権大会には2季連続で出場。1回戦では天野勇剛投手の仙台育英高校を破り、2回戦の宮島工業高校戦ではわずか2安打に抑え込む完封勝利を挙げるなど、エースとしての役割を果たしました。3回戦では山本省吾投手を擁する星稜高校に敗れ、高校野球を終えました。

高校卒業を控えた1995年のNPBドラフト会議において、広島東洋カープから2位指名を受けました。契約金は7,000万円、年俸は500万円（いずれも推定）で入団契約を結び、担当スカウトは佐伯和司氏でした。同期のドラフト1位には長谷川昌幸投手がおり、将来の左右のエース候補として大きな期待が寄せられました。入団会見では、当時チームのエースとして活躍していた大野豊投手を目標に掲げました。

現役時代

プロ入り後、一軍での登板機会を掴むまでには時間を要しました。入団から3年目にあたる1998年シーズン終了まで、一軍のマウンドに上がることはありませんでした。プロ4年目の1999年5月22日、横浜スタジアムで行われた対横浜ベイスターズ戦で、ようやく念願の一軍初登板を果たしました。この試合では敗戦処理として8回裏からマウンドに上がり、一死も奪えないまま満塁のピンチを招き、押し出しで失点を許しましたが、その後は追加点を許さず、1回を1失点に抑えました。この試合の8回裏には、中根仁選手から空振り三振を奪い、これがプロ入り後初の奪三振となりました。一軍登板を経験した後も、フォームの試行錯誤を重ね、サイドスローへの転向や再びオーバースローに戻すなど、自身の投球スタイルを模索しました。しかし、1999年シーズンの一軍登板は4試合にとどまり（同年6月27日には代走として出場した記録も残っています）、翌2000年シーズンは一軍での登板機会がないままシーズンを終え、球団から戦力外通告を受け、現役を引退することを決断しました。

引退後

現役引退後も広島東洋カープに残り、チームを支える道を選びました。打撃投手としてチームの練習を支えていましたが、靭帯を痛めたことをきっかけに、スコアラーへと転身しました。スコアラーとして、相手チームの分析や自チームの記録管理などを担当し、チームの戦略立案に貢献しています。2023年現在も、一軍に帯同するチーム付きのスコアラーとして、チームの勝利に欠かせない役割を担っています。

詳細情報

記録

初登板：1999年5月22日、対横浜ベイスターズ6回戦（横浜スタジアム）、8回裏に5番手で救援登板・完了、1回1失点
初奪三振：同上、8回裏に中根仁から空振り三振

背番号

26 （1996年 - 2000年） - 選手時代
102 （2002年 - 2004年） - 打撃投手時代

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