吉田清孝

吉田清孝（よしだ きよたか）

吉田清孝は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけて活躍した武将で、島津氏の家臣として知られています。

出自

吉田氏は、古代豪族・息長氏を祖とする名門です。大隅正八幡宮（現在の鹿児島神宮）の神官を務めていましたが、源為朝の次男・為重から大隅国吉田院を譲り受け、吉田氏を名乗るようになりました。清孝の祖父・吉田位清は、島津宗家への謀反の疑いをかけられ、13代当主・島津忠隆に攻められ、居城である吉田城が落城。位清は逃亡中に島津安久に討たれ、吉田氏は一時没落しました。しかし、位清の妻が島津忠良（島津氏15代当主・島津貴久の父）の姉であったことから、位清の子・宗清と弟・清親は貴久に仕えることになります。

略歴

吉田清孝は、吉田氏15代当主・吉田宗清の次男として生まれました。天正6年（1578年）から、島津貴久の後を継いだ島津義久の使衆として仕え、阿多（現在の鹿児島県南さつま市）の地頭、後に隈之城（現在の薩摩川内市隈之城町）の地頭を歴任しました。

天正14年（1586年）の豊後国入りでは、津賀牟礼城の番大将を任されました。義久が豊臣秀吉に降伏すると、主命により文禄元年（1592年）から大坂詰めとなります。

慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いでは、老中・平田増宗の指示を受け、相良長泰、上原尚張と共に、実窓院（島津義弘の継室）と亀寿（義久の末娘で島津忠恒の正室）を薩摩国へ逃がすという重要な任務を担いました。清孝らは、亀寿を侍女の於松とすり替えるという大胆な策を実行し、見事に成功させました。そして、須磨明石沖まで逃げ延びた義弘に、実窓院と亀寿を引き渡すことに成功しました。

慶長18年（1613年）、清孝は国分（現在の鹿児島県霧島市国分）に移り、国分衆の一員となりました。この地で、その後の人生を過ごしたと考えられています。

人物像

吉田清孝は、武将としての優れた能力だけでなく、冷静な判断力と大胆な行動力を兼ね備えた人物であったと考えられています。関ヶ原の戦いにおける実窓院と亀寿の脱出劇は、彼の知略と実行力を示す好例と言えるでしょう。

脚注

『本藩人物誌』 鹿児島県史料集（13）（鹿児島県史料刊行委員会）
稲葉行雄 『「さつま」歴史人名集』（高城書房出版）ISBN 4-924752-28-2

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