京都貨物駅

京都貨物駅：歴史と役割を担う重要な交通拠点

京都府京都市下京区梅小路頭町に位置する京都貨物駅は、日本貨物鉄道（JR貨物）が運営する東海道本線の貨物駅です。JR京都線（旅客線）に並走する貨物線上にあり、全国各地との物流を支える重要な役割を担っています。

歴史の軌跡：仮停車場から貨物駅へ

現在の京都貨物駅周辺には、1876年から1877年にかけて、京都駅開業までの暫定的な鉄道駅として大宮通仮停車場が設置されていました。これは、大阪駅から鉄道が開通した際に、京都への鉄道輸送を担う最初の駅として機能していました。

その後、1910年に梅小路仮信号場として開設され、1911年には梅小路仮停車場へと昇格しました。当初は西本願寺や知恩院の大法会参拝客のための利用に限られていましたが、1913年には京都駅の貨物業務を引き継ぐ形で梅小路駅へと昇格。以降、1918年には丹波口駅への貨物支線が延伸開業するなど、発展を遂げていきました。

1970年代には小荷物の取り扱いを開始するも、1984年には廃止。国鉄分割民営化を経て、1987年にはJR貨物に移管されました。1990年には、貨物荷役設備を移設し、効率的な着発線荷役方式（E&S方式）を導入。さらに、1995年にはエフ・プラザ梅小路営業開始など、時代の変化に合わせて進化を遂げ、2011年には現在の名称である京都貨物駅へと改称されました。2016年には、梅小路京都西駅建設に伴い、丹波口駅までの貨物支線が廃止となりました。

駅構造：効率的な貨物取扱いの仕組み

京都貨物駅は地上駅で、東海道本線と山陰本線の分岐点付近に広大な構内が広がっています。着発線荷役方式を採用したコンテナホーム1面2線と、有蓋車用の貨物ホーム1面1線を備え、多数の側線も保有しています。

上り列車と下り列車はそれぞれ異なるルートで着発線に進入・出発するため、複雑な線路配置となっています。上り列車は本線から渡り線を経由して着発線へ、下り列車は本線から分岐した貨物線を経由して着発線へ進入し、それぞれ本線へと合流する仕組みです。下り列車のルートは、特急「はるか」なども使用する路線の一部と重複しています。

駅構内にはJR貨物京都営業支店が入る駅舎の他に、日本アクセスが運営する物流施設「エフ・プラザ京都貨物」も設置されています。また、JR西日本の梅小路運転区も隣接しており、旅客電車の留置なども行われています。

貨物取扱い：多様な貨物を扱う拠点

京都貨物駅では、12ftコンテナ、20ft・30ft大型コンテナ、20ft ISO規格海上コンテナなどのコンテナ貨物を中心に取り扱っています。2007年以前は、比奈駅から発送される紙製品などの車扱貨物も輸送していましたが、現在は定期輸送は行われていません。さらに、産業廃棄物・特別産業廃棄物の取扱許可も取得しており、多様な貨物の取扱いに対応しています。

貨物列車：全国各地と繋がるネットワーク

京都貨物駅には、東海道本線はもちろん、北陸本線や湖西線から直通する貨物列車も停車します。高速貨物列車は、吹田貨物ターミナル駅方面や米原操車場・南福井駅方面へ向かう列車が多数運行され、全国各地の貨物ターミナル駅を結んでいます。また、専用貨物列車の中継駅としての役割も担っており、安治川口駅や稲沢駅などとの間で貨物列車が運行されています。

駅周辺：観光地にも近い立地

京都貨物駅は、旧駅名である梅小路地区の西側に位置し、隣接して京都鉄道博物館（旧・梅小路蒸気機関車館）、梅小路公園、京都水族館などが存在します。駅周辺には住宅地が広がり、宿泊施設なども点在しています。

隣の駅

京都貨物駅の隣の駅は、書類上は京都駅と西大路駅ですが、西大路駅は旅客線のみであり、実際には向日町駅が実質的な隣の駅となります。また、かつては京都市場駅や丹波口駅への貨物支線が存在していました。

まとめ

京都貨物駅は、長い歴史を持つ貨物駅として、今もなお進化を続けています。効率的な貨物取扱いシステムと、全国各地を結ぶ鉄道ネットワークを活かし、日本の物流を支える重要な拠点としての役割を果たしています。また、周辺の観光地との立地も魅力の一つです。

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