呂虔

呂虔（りょ けん）

呂虔（生没年不詳）は、後漢末から三国時代の魏にかけて活躍した武将であり政治家です。字は子恪（しかく）。兗州任城国任城県（現在の山東省済寧市微山県）出身。

生涯

曹操に見出され、その才能を開花させました。呂虔は、曹操が兗州にいた頃、その胆力と策略を見込まれて従事に任じられ、家兵を率いて兗州山陽郡湖陸を守備しました。当時、東海郡では襄賁校尉の杜松配下の炅母らが反乱を起こし、昌豨と通じていました。曹操は杜松に代えて呂虔を襄賁校尉に任命。呂虔は着任後、反乱の首謀者である炅母らを酒宴に招き、酔い潰したところを伏兵で皆殺しにし、残党を慰撫して反乱を鎮圧しました。

泰山太守を兼任すると、その手腕をさらに発揮しました。泰山郡は山海に接し、難民が各地に潜伏、さらに袁紹が中郎将に任じた郭祖・公孫犢らが山に拠って住民を苦しめていました。呂虔は家兵を率いて赴任すると、恩愛と信義を示して彼らを慰撫。郭祖らは皆山を降りて降伏しました。呂虔は降伏者を農耕や仕事に従事させるとともに、その中から強者を選抜して兵士に登用。泰山郡の兵士は精鋭となり、州郡の中でも筆頭に挙げられるほどになりました。

済南の黄巾党の徐和が各地の城を攻撃すると、呂虔は夏侯淵とともにその鎮圧に乗り出し、数十戦に及ぶ戦いで数千人を斬首・捕獲する戦果を挙げました。また、東萊の李条らを討伐する際にも功績を挙げました。

これらの功績により、呂虔は曹操から茂才に挙げられ、騎都尉の地位を加えられました。泰山太守としては十数年にわたり、その統治は大きな威厳と恩恵をもたらしました。

曹丕が王位に就くと、呂虔は裨将軍を加えられ、益寿亭侯に封ぜられました。さらに徐州刺史に任じられ、威虜将軍を加えられました。徐州の統治においては、王祥を別駕に取り立て内政を任せました。人々は呂虔の賢者への信任を称賛しました。呂虔は、持つ者に三公の地位をもたらすという剣を持っていましたが、王祥に「持つべき人が持たなければ、この剣は害をなすかもしれない。貴方こそ三公になる器量を持つ」と言い、固辞する王祥に剣を贈りました。王祥は後に西晋において三公より上位の地位にまで上り詰めました。

利城郡で反乱が発生し、太守の徐質が殺害され、唐咨が首領となると、呂虔は諸軍とともにこれを討伐し、斬獲の功を挙げました。

曹叡が即位すると、万年亭侯に転封され、200戸の加増を受け、所領は600戸となりました。彼の死後、息子の呂翻が後を継ぎ、呂翻の死後はその子の呂桂が家督を継承しました。

陳寿は呂虔を、李通、臧覇、文聘と並び、州郡を守り、威厳と恩恵を示した人物として高く評価しています。

三国志演義における呂虔

小説『三国志演義』では、劉曄の推薦で曹操に仕え、新たに毛玠を曹操に推薦する役割を担っています。兗州での戦いでは、李封が討たれて逃亡を図った薛蘭を弓矢で射殺する場面が描かれています。また、禰衡からは「呂虔は刀研ぎに適している」と揶揄される場面もあります。

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