毛玠

毛玠（もう かい）についての概要

毛玠は、中国後漢末期の政治家であり、字は孝先です。彼は兗州の陳留郡平丘県（現在の河南省新郷市長垣市）出身で、経歴としては公正さで知られる県の役人から始まりました。毛玠には子が一人おり、その名は毛機です。『三国志』魏書には彼の独立した伝記が記されています。

経歴と曹操との関係

毛玠は若い頃から公正無私な役人として評価されていましたが、当時の乱世による政治情勢の悪化から、荊州への避難を計画していました。しかし、同時に兗州に進軍してきた曹操から治中従事としての誘いを受けたことで、その提案を受諾しました。彼は献帝が長安を脱出し流浪していた時には、献帝の保護を行うべきだと進言し、また彼の権威を用いて農業を活性化し財政を強化することが、袁紹や劉表に対抗する手段であると主張しました。この提言は曹操に認められ、毛玠は軍府の功曹に任命されました。

その後、曹操が司空や丞相に昇進すると、毛玠も東曹の掾に昇進し、崔琰と共に官吏の人事を担当する役割を担います。毛玠は清廉さを重んじ、官吏として登用するのは誠実な人物だけであるべきだと強く信じており、その結果、官吏たちも自発的に行動を節制するようになりました。曹操は彼の取り組みを高く評価しましたが、毛玠は他人からの要請に対しては一切受け付けず、曹操の子である曹丕からの身内登用の要請も拒否したため、周囲からは不満が高まりました。

この様な状況にも関わらず、曹操は毛玠を庇い、西曹を廃止する動きに対抗しました。その後も彼は右軍師へと昇進し、尚書僕射として活動を続けました。曹操の子である曹植を庇護する姿勢に対して、毛玠は長幼の序を明確にすべきだと諌めるなど、強い信念を持った政治家であったといえます。

丁儀との対立と最期

しかし、216年には状況が一変します。崔琰が丁儀の讒言によって曹操の不興を買い、自死する事件が起こりました。これが毛玠と曹操との関係を冷え込ませるきっかけとなりました。毛玠もまた丁儀の讒言に惑わされ、曹操の激しい怒りによって投獄されてしまいます。彼は鍾繇によって厳重に尋問されるも、決して屈しなかったと言われています。

さらに、毛玠の人事政策に不満を持っていた和洽は、毛玠の潔白を確認するため、曹操に対して讒言の真偽を明らかにするよう求めました。他にも桓階が彼を弁護したこともあり、毛玠は免職という形で助命されることになりますが、彼はその後も不遇な生活を続け、最終的には亡くなりました。その清廉な性格は、彼の伝記や『先賢行状』にも記されています。

息子の毛機は不遇をかこっていたが、後に魏王朝が成立した223年の詔によって郎中として任命されることになります。

三国志演義における描写

毛玠は小説『三国志演義』にも登場します。この作品では、兗州で挙兵した曹操のもとで満寵や呂虔から推薦を受けて仕官したとされ、赤壁の戦いでは于禁と共に水軍都督を拝命したと記されています。彼の業績は物語の中で広く知られ、評価されています。

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