臧覇

臧覇（ぞうは）

臧覇（生没年不詳）は、後漢末期から三国時代にかけての武将・政治家で、字は宣高（せんこう）。兗州泰山郡華県（現在の山東省臨沂市費県）の出身です。父は臧戒（ぞうかい）で、子には臧艾（ぞうがい）などがいます。

若き日の活躍

臧覇は若い頃からその勇猛さで知られていました。県の獄掾であった父が太守の不正を拒否し逮捕された際、18歳にして食客数十人を率いて父を奪還し、東海郡に亡命しました。この事件によって、彼の名は広く知られるようになりました。

黄巾の乱と独立

黄巾の乱が起こると、陶謙（とうけん）に従って黄巾賊を討伐し、騎都尉（きとつい）に任じられました。その後、徐州で兵を集め、孫観（そんかん）、呉敦（ごうとん）、尹礼（いんらい）、昌豨（しょうき）らを率いて開陽（かいよう）に駐屯し、独立勢力となりました。

呂布との関係

徐州を支配した呂布（りょふ）は、臧覇と袁術（えんじゅつ）に挟まれることを警戒しました。建安2年（197年）には、臧覇は琅邪国（ろうやこく）の相である蕭建（しょうけん）を破り、莒県（きょけん）を占領しました。呂布は臧覇を攻撃しましたが、臧覇はこれを撃退しました。その後、呂布と臧覇は和解し、同盟関係を結びました。

曹操への帰順

建安3年（198年）、呂布が曹操（そうそう）に攻められた際、臧覇は呂布を支援しましたが、呂布が敗死すると逃亡し身を隠しました。曹操は臧覇に懸賞金をかけましたが、臧覇に会ってみると彼を気に入り、孫観らを曹操の元に招かせました。臧覇が促すと彼らは帰順し、臧覇も琅邪国相に任命され、青州・徐州の統治を委ねられました。

青州・徐州の統治

臧覇は、青州・徐州の治安維持に大きく貢献しました。建安4年（199年）には、曹操に従って青州に侵入し、斉郡・北海郡・東萊郡を破りました。官渡の戦い（200年）でも、臧覇らは精鋭を率いて青州に侵入し、曹操が袁紹（えんしょう）との決戦に専念できる環境を作りました。臧覇は都亭侯（とていこう）となり、威虜将軍（いりょしょうぐん）を加えられました。

曹操への忠義

臧覇は、曹操配下の将軍であった徐翕（じょきゅう）・毛暉（もうき）が呂布を担いで反乱を起こし、失敗して臧覇の下に亡命してきた際、曹操に彼らの首を送るよう説得されました。しかし、臧覇は亡命者を裏切ることはできないと主張し、曹操の命令には背かないものの、義を重んじる姿勢を示しました。曹操は臧覇の言葉に感銘を受け、徐翕・毛暉を赦して郡太守に任じました。

孫権との戦い

建安14年（209年）、曹操が孫権（そんけん）征伐を行った際には、臧覇は巣湖（そうこ）に進入して居巣（きょそう）を破りました。また、陳蘭（ちんらん）・梅成（ばいせい）が曹操に反乱を起こした際には、張遼（ちょうりょう）らと共に討伐にあたり、孫権軍を破りました。濡須口（じゅしゅこう）の戦い（217年）では、張遼と共に先鋒を務め、孫権の工作隊を撃退しました。

晩年

曹操の死後、臧覇の部下と青州兵は天下が乱れると考え、勝手に持ち場を離れました。曹丕（そうひ）（文帝）が魏王を継ぐと、臧覇は鎮東将軍（ちんとうしょうぐん）に昇進し、武安郷侯（ぶあんきょうこう）に進爵し、都督青州諸軍事（ととくせいしゅうしょぐんじ）となりました。その後、開陽侯（かいようこう）に進封され、後に良成侯（りょうじょうこう）に改封されました。

曹叡（そうえい）（明帝）の時代には500戸を加増され、3500戸となりました。その後まもなく死去し、威侯（いこう）と諡（おくりな）されました。子の臧艾が後を継ぎました。

人物評価

陳寿（ちんじゅ）は、臧覇を州郡を守り威厳と恩恵を示した人物として評価しています。孫盛（そんせい）は、臧覇が父を助けて孝であり、若い頃から孝烈を称えられたと評価し、曹操が方面軍を任せた優れた人物の一人として名を挙げています。

三国志演義

小説『三国志演義』では、呂布配下の八健将の一人として登場し、張遼に次ぐ序列第2位に位置づけられています。濮陽（ぼくよう）での曹操軍との戦いや、徐州での袁術の侵攻の際に活躍する姿が描かれています。

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