呉允誠

呉允誠（ご いんせい、1357年 - 1417年）は、明代の軍人であり、元の名は把都帖木児（バトテムル）といいました。彼はモンゴル出身で、甘粛塞外の塔溝地に居住し、北元では平章という高官にまで昇進しました。

1405年、明の平羌将軍である宋晟の招きに応じて、呉允誠は自身の妻子や部落民5000人、そして馬やラクダ16000頭と共に明に帰順しました。当時、モンゴル人には同名の者が多かったため、永楽帝から呉允誠という姓名を賜り、右軍都督僉事に任じられました。また、彼の同僚であった倫都児灰も柴秉誠という姓名を与えられ、後軍都督僉事に任じられました。呉允誠は、部下を率いて涼州で農耕牧畜の生活を営み、その地を安定させることに貢献しました。

1409年、呉允誠はエチナに赴き、敵情を偵察する任務に就きました。この際、哈剌ら二十数人を捕らえるという戦果を挙げ、その功績により都督同知に進みました。翌1410年には、永楽帝の漠北遠征に従軍し、オルジェイ・テムルを破るなど、目覚ましい活躍を見せ、右都督、さらに左都督へと昇進しました。また、宦官の王安と共に闊脱赤を把力河まで追撃し捕らえるという功績も挙げました。

呉允誠は、息子の答蘭と克勤を従軍させ、妻と息子の管者を涼州に残していました。その留守中、番人の虎保らが呉允誠の部衆を誘い、離反を企てました。しかし、呉允誠の妻と管者は、部将の都指揮である保住や卜顔不花らを呼び出し、虎保の仲間を捕らえ処断しました。この機転の利いた行動は永楽帝を喜ばせ、勅を下して妻子を顕彰し、褒美として絹布、宝鈔、羊、米を賜りました。また、管者を指揮僉事に任じ、保住には楊効誠という姓名を与え、同じく指揮僉事に任じました。この頃、北元の可汗オルク・テムルが暗殺され、その配下の多くが壊滅状態となっていました。

呉允誠の子である答蘭と、柴秉誠の子である別立哥は、志願して塞外に出征し、功績を挙げました。1412年正月、呉允誠は恭順伯に封じられ、世襲の権利を与えられました。

1414年、永楽帝がオイラトのマフムードを討伐した際、呉允誠とその子らは共に従軍しました。凱旋後、呉允誠は涼州に居住し、守備を担うよう命じられました。1417年5月9日、呉允誠は61歳でこの世を去りました。その死後、邠国公の位が追贈され、忠壮という諡号が贈られました。

呉允誠の子供には、後を継いだ呉克忠（元の名：答蘭）、都指揮同知の呉管者、贈遵化伯の呉克勤、呉恵妃がいます。呉允誠は、その忠誠心と卓越した軍事能力により、明朝の安定に大きく貢献した人物として、歴史に名を残しています。

彼は、単に武将としてだけでなく、その人柄も高く評価されており、帰順した部族民を率いて、明朝の北方安定に尽力したことは、特筆すべき功績といえるでしょう。

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