宋晟

宋晟（そうせい）は、生年不詳ながら、1407年に没した明初の軍人です。字は景陽といい、濠州定遠県を本貫とします。元末の混乱期に、朱元璋に従い数々の戦いで活躍し、明朝の成立に貢献しました。

生涯

宋晟は、宋朝用の四男として生まれました。1355年、父や兄とともに朱元璋の軍に加わり、長江を渡りました。翌年には、集慶路の攻略戦で次兄が戦死したため、その職を引き継ぎました。1357年には、鄧愈に従って徽州を攻略。1359年には、父の天寧翼元帥の官を継承しました。1360年には、饒州や江西の諸州を攻めるなど、各地を転戦しました。

1368年、明朝が成立すると、宋晟は建寧を攻略し、武徳将軍・建寧衛正千戸に任命されました。1371年には、懐遠将軍・建寧都指揮同知となり、冬には南京に召還されて江西都指揮使に進みました。1376年には、大同都指揮使に転じ、龍虎将軍の号を受けました。1378年には、陝西都指揮使に転じますが、1379年には事件に連座して涼州衛指揮使に降格されました。しかし、1380年には北伐に参加し、白城に到達するなど、軍人としての実力を示しました。

1384年5月、宋晟はチベット系民族の反乱を鎮圧するため、亦集乃路に進軍。北元の海道千戸エセン・テムルや国公呉把都剌赤らを捕らえ、1万8千人もの捕虜を得ました。捕らえた首長は南京に送り、精鋭1000人を兵士として登用しましたが、それ以外の捕虜は全て釈放しました。この功績により、南京に召還されて都指揮となり、右軍都督僉事に進み、涼州に駐屯することになりました。

1391年、宋晟は総兵官となり、都督の劉真と共にハミルを討伐。豳王ビルゲ・テムルや国公など30数人を捕らえ、その輜重を鹵獲して帰還しました。1392年5月には、藍玉に従って罕東を討伐し、現地の首長らを敗走させました。凱旋後、中軍都督僉事に任命されました。

1395年6月には、総兵官の周興に従って開原に進出し、部長の西陽哈を追撃して多くの人や家畜を捕獲。1396年には、征南右副将軍として広西の苗族の反乱を鎮圧し、7000人以上を捕斬しました。1397年には、羽林八衛の兵を率いて五開・龍里の苗族の反乱を鎮圧。1398年には、開平府に駐屯し、燕王朱棣に従って北伐に参加しました。1399年には、甘粛に駐屯しました。

1402年、永楽帝（朱棣）が即位すると、宋晟は南京に入朝し、後軍左都督に進み、平羌将軍の号を受け、甘粛に戻りました。1405年には、把都帖木児らの部落5000人を招降し、西寧侯に封じられ、指揮使の位の世襲を認められました。1407年、河西での牧地経営と塞北経略を命じられましたが、病に倒れ、粛州で亡くなりました。

子女

宋晟には多くの子がおり、その中から特に有名なのは以下の3人です。

宋瑄: 次男。建文年間に府軍右衛指揮使となり、霊璧で戦死しました。
宋琥: 四男。永楽帝の娘である安成公主を妻に迎え、1408年に西寧侯の爵位を継承しました。1410年には前将軍の印を受け、甘粛に駐屯しました。1412年には李彬と共に老的罕を討伐しましたが、1425年に不敬の罪で爵位を剥奪されました。その後、都尉として復帰しました。
宋瑛: 六男。兄の宋琥が廃位された後、西寧侯の爵位を継承しました。咸寧公主を妻に迎え、正統年間に左軍と前府の事務を管掌しました。1449年、オイラトのエセン・ハーンが侵入した際には総兵官となり、大同で戦死しました。死後、鄆国公に追封され、忠順という諡号が贈られました。

まとめ

宋晟は、元末から明初にかけて数々の戦で活躍し、明朝の成立に大きく貢献した武将です。その功績により西寧侯に封じられ、その子孫もまた明朝の発展に寄与しました。特に、三人の息子たちはそれぞれ重要な役割を果たし、明朝の歴史に名を残しています。

脚注

『明史』巻155 列伝第43
故推誠輔運宣忠効力武臣柱国後軍都督府左都督西寧侯宋公神道碑銘（楊士奇『東里文集』巻12所収）
追封西寧侯宋公墓碑（楊栄『文敏集』巻19所収）

もう一度検索