品秩

品秩（ひんちつ）

品秩は、東アジアの主な官僚制の一環として、官職の高低に応じて俸禄の額を分類する制度です。この概念は、歴代の中華王朝によって確立され、その後朝鮮半島や日本に伝わり、各国の官僚制度に影響を与えました。特に「位階と俸禄」の総称としても用いられ、品位とも呼ばれます。

歴史的背景

中国における品秩の発展

周代

周代においては、官職を9等に分ける「九命」という制度がありました。この時期の官職の任命は、「九儀」や「九儀之命」と呼ばれる儀式を通じて行われました。この制度では、土地を管理する者には報酬として俸禄が支給され、高官の俸禄は下級官僚の20倍から30倍、諸侯は高官の約10倍となっていました。

漢代

漢朝に入り、品秩は石数によって俸禄を区分する方法が一般化しましたが、数字で示される俸禄は実際の収入を正確に反映していなかったため、大まかな等級分けとして機能していました。文官の最高位である三公には一万石が与えられ、次いで九卿や太守にはそれぞれ二千石、さらに県令が一千石、県長が三百石や四百石といった具合でした。優れた業績を挙げた官吏は、官階の昇進なしに俸禄が増加することもありました。

三国時代

三国時代に入ると、魏が九品官人法を導入しました。これにより、漢代の官階の高低に対する従来の方式と共存し、次第に九品官人法が標準的な官品の基準となっていきました。

南北朝時代

南北朝時代には西魏で九命が新たな正式名称として定義され、九品制度が改編されました。この時期の制度変更により、九品に正従の区別が付けられ、さらに北周の制度では正命が新たに加えられました。『周礼』を基にした六官も設置され、行政機能が強化されました。

隋唐時代

隋の成立後、北周の六官制度は廃止され、九品制が復活しました。その後の唐代には官職は流内官と流外官に分かれ、流内官は九品三十階に、流外官はその範囲外で制度が整理されました。

日本における品秩の採用

日本では、大宝律令が施行される際、唐の九品三十階制度を参考にして官位体系が構築されました。親王や内親王は九位三十階の範疇に入れられず、一品から四品の品位が与えられましたが、正従の上下の区別はありませんでした。日本は散官の制度が無かったため、官品が直接官職の一部分となり、五位以下の職官は役職や任地に基づいて内位と外位に分けられました。特に内位八位以上は皇室からの勅旨により授けられ、初位以下や外位八位以下は太政官からの判給に基づいて実施されていました。

このように、品秩は東アジアにおける官庁制度の発展において重要な役割を果たしてきました。

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