唐栄鉄工廠

唐栄鉄工廠の歴史と事業展開

唐栄鉄工廠は、1940年に台湾の実業家である唐栄によって設立された鉄鋼メーカーです。設立当初は「唐栄鉄工所」という名称でしたが、第二次世界大戦後、台湾に残された日本資本の製鉄設備を買い取り、「唐栄鉄工廠」と改名しました。

台湾最大の民間企業へ

設立当初から、唐栄鉄工廠は台湾における主要な民間企業の一つとして成長しました。台湾全土に多くの鋼鉄加工事業所を展開し、台湾経済の発展に大きく貢献しました。しかし、その後の政治的な変動が、同社の命運を大きく左右することになります。

政治的混乱と国営化

唐栄鉄工廠の創業者である唐栄は、台湾の政治的権力闘争に巻き込まれます。当時の政治家、陳誠と蔣経国の間で繰り広げられた蔣介石の後継者争いに翻弄されたのです。唐栄鉄工廠は、陳誠と関係が深く、ニュー台湾ドルへのデノミネーションの際にも支援を受けましたが、陳誠の死去により蔣経国が後継者として確定したことで、中華民国政府に接収され、1962年から台湾省の省営事業となりました。創業者である唐栄は、失意のうちに亡くなったとされています。

民営化と競争激化

台湾が経済成長を遂げる中で、唐栄鉄工廠は産業保護条例によって守られていましたが、国外の同業他社との競争激化により業績は低迷。1999年の政府制度改革により、経済部に属する国営事業となりました。その後、2006年8月には株式上場を果たし、再び民営化されることとなります。

多角的な事業展開

2002年には、中国鋼鉄、日本車輌、住友商事との合弁で台湾車輌を設立し、鉄道車両の生産を分社化。さらに、バス製造事業も唐榮車輌科技股份有限公司として分社化しました。

製品

唐栄鉄工廠は、鉄鋼製品だけでなく、鉄道車両やバスなど多岐にわたる製品を製造しています。以下に主な製品を挙げます。

鉄道車両事業部

台湾鉄路管理局
莒光号用客車（一部）
通勤客車、平快車（一部）
冷気対号（復興号）用客車
電源荷物車
E1000型の食堂車
DR2300型車体更新
DR2510型気動車
DR3100型（日本車輌製/組立）
DR1000型（日本車輌製/組立）
林務局嘉義林区管理処（阿里山森林鉄路）
阿里山号初代客車
林務局羅東林区管理処（太平山森林鉄路）
太平山蹦蹦車
林務局新竹林区管理処
烏来台車車輌
台北市政府捷運工程局
台北捷運C301型電車（米国URC分の組立）
亞洲水泥
貨車各種
韓国鉄道庁
客車各種
サウジアラビア鉄道
貨車各種

バス車両事業部

交通部公路局/台湾汽車客運公司（現在の国光汽車客運）
ベンツOH1625シャシーの車体（一部）
日野LCM8SAシャシーの車体（一部）
大宇BH120シャシーの車体（一部/全て廃車）
台北市公車処（現在の大都会客運）
インターナショナル自動車3000REシャシーの車体
欣欣客運
日野ERK2JMLシャシーの車体（一部）
いすゞLT134Lシャシーの車体（一部）
嘉義客運
嘉義BRTで採用されたボルボB7RLEシャシーの車体
嘉義BRTで採用された上海汽車申沃SWB6127シャシーの車体
三重客運
いすゞLT134PRKシャシーの車体（一部）

参考資料

【板橋公車站/Willie的轉運站/鳴遠巴士站】聯合網站
唐榮鐵工廠

外部リンク

唐栄鉄工廠 （正体字中国語・英語）
台湾車輌公司 - 唐栄鉄工廠鉄道車輌工場時期の生産・販売実績 （正体字中国語）

もう一度検索