商君書

商君書（しょうくんしょ）

『商君書』は、法家思想の代表的な文献として知られ、商鞅の著作と伝えられていますが、その成立過程については諸説あります。別名『商子』（しょうし）とも呼ばれ、現存するのは24篇です。

概要

司馬遷の『史記』には、商鞅の思想に触れた記述があり、『漢書』芸文志には法家の一つとして『商君』29篇が挙げられています。しかし、現行の『商君書』には、商鞅の生きた時代以降の記事が含まれているため、商鞅自身の手によるものとは断定できません。

例えば、「徠民篇」には魏の襄王の諡号が見られ、長平の戦いに関する記述もあることから、秦の昭襄王以降の時代に成立した部分があると考えられています。そのため、後世の人物による偽作説も存在します。

『四庫全書総目提要』では、商鞅の思想を基に、後世の法家思想家たちが編纂したとの見解が示されています。

構成

現行の『商君書』は、5巻26篇で構成されていますが、第16篇と第21篇は内容が欠落しているため、実質的には24篇です。また、『群書治要』巻36には、『商君書』六法篇からの抜粋が収録されています。

各巻の構成

巻1: 更法第一、墾令第二、農戦第三、去彊第四
巻2: 説民第五、算地第六、開塞第七
巻3: 壱言第八、錯法第九、戦法第十、立本第十一、兵守第十二、靳令第十三、修権第十四
巻4: 徠民第十五、賞刑第十七、画策第十八
巻5: 境内第十九、弱民第二十、外内第二十二、君臣第二十三、禁使第二十四、慎法第二十五、定分第二十六

『商君書』は、法の厳格な適用を重視し、農業の振興と富国強兵を主張しています。特に、戦法・立本・兵守の3篇は兵法に特化しており、他の篇とは内容が大きく異なっています。

研究文献

好並隆司『商君書研究』溪水社、1992年。ISBN 4874402607。

関連文献

小柳司気太 訳『商子』国民文庫刊行会〈国訳漢文大成 経子史部 第9巻〉。
清水潔 訳『商子』明徳出版社〈中国古典新書〉、1970年。
鈴木一郎『商君書索引』風間書房、1989年。ISBN 4759907351。
守屋洋 訳『商君書―中国流統治の学』徳間書店〈現代人の古典シリーズ 38〉、1995年。ISBN 4198602476。

外部リンク

『商君書』(Project Gutenberg)
『商君書』(中國哲學書電子化計劃)
* 秋山陽一郎『商君書解題』過立齋叢書電子文献

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