喜入久道

喜入久道（きいれひさみち）は、安土桃山時代に薩摩国（現在の鹿児島県）で活躍した武将で、島津氏の家臣でした。

永禄2年（1559年）に、島津氏の家臣である喜入季久の長男として誕生しました。家督を継いだ久道は、喜入（現在の鹿児島市喜入町）と鹿籠（現在の鹿児島県枕崎市）の合わせて5,148石を領有しました。

久道は、武勇に優れていただけでなく、犬追物（いぬおうもの）という、犬を使った狩猟の腕前も非常に優れていたとされています。天正3年（1575年）11月に行われた犬追物では、11匹もの獲物を射止めるほどの腕前を披露したという記録が残っています。

武将としての活躍も目覚ましく、天正13年（1585年）の肥後御船城攻め（現在の熊本県）に島津軍の一員として従軍しました。天正15年（1587年）には、豊臣秀吉の家臣である豊臣秀長が新納院高城（現在の鹿児島県）を攻めた際、山田有信と共に城に籠って防戦しましたが、最終的には島津義久の説得に応じて降伏しました。その後、久道は有信の嫡子である山田有栄と共に、豊臣方の桑山重晴の人質となりました。この出来事は、当時の武将たちの複雑な立場と、戦乱の世の厳しさを物語っています。

その後、久道は喜入・鹿籠から永吉（現在の鹿児島県鹿児島市永吉）へと領地替えとなりました。私生活においては、一男一女をもうけましたが、いずれも早世したため、後継者がいなくなってしまいました。そのため、島津義弘の四男である万千代丸を養子に迎える予定でしたが、万千代丸も9歳で亡くなってしまったため、天正17年（1589年）に島津義久の命により出家していた末弟の忠続を養子としました。

久道は、慶長5年（1600年）8月に42歳で亡くなりました。

喜入久道は、武将として戦場で活躍しただけでなく、犬追物などの武芸にも秀でていた人物でした。また、人質となる経験や、後継者問題に翻弄されるなど、波乱に満ちた生涯を送った人物でもあります。その生涯は、当時の武将たちの生きた時代背景を理解する上で重要な事例として捉えることができます。

参考文献：『本藩人物誌』 鹿児島県史料集（13）（鹿児島県史料刊行委員会）

もう一度検索