新納院

新納院（にいろいん）

新納院は、かつて日向国（現在の宮崎県）に存在した地域名で、現在の児湯郡東部、具体的には都農町、木城町、川南町、高鍋町、新富町といった地域を指します。さらに、16世紀には臼杵郡の一部である東郷村、西郷村、南郷村も含まれていました。

歴史的背景

かつて日向国は、5つの郡と8つの院で構成されていました。この「院」という区分は、郡とは別に設けられた行政区画であり、新納院もその一つでした。

当初、日向国には「真幸院」、「三俣院」、「穆佐院」、「新納院」、「都於院」、「櫛間院」、「救仁院」の7院が存在しました。新納院は、この中で「都於院」と共に児湯郡内に位置していました。新納院の中心となる倉院は、小丸川流域の交通の要衝であったことから、現在の木城町高城付近にあったと考えられています。

平安時代後期には、公卿の中原親能が新納院の地頭に任じられましたが、実際に赴任することはなく、郡司である日下部氏が代々統治しました。その後、日下部氏は土持氏から土持宣綱を養子に迎え、新納院は土持氏の支配下に入りました。

南北朝時代には、島津氏の時久が地頭として高城に入り、新納氏を名乗りました。しかし、間もなくして畠山義顕に攻められ、時久は救仁院へ追いやられてしまいます。その後、一色範親が土持氏に新納院の地頭職を与え、再び土持氏の支配が続きました。

戦国時代には、日向伊東氏が勢力を拡大し、土持氏を没落させ、新納院は伊東氏の支配下に入りました。しかし、伊東氏が豊後国へ退去すると、一時的に島津氏の統治下となりました。豊臣秀吉による九州国分により、新納院の領域は高鍋藩（秋月氏）や佐土原藩（島津氏庶流）に分割され、それぞれの藩によって統治されることになりました。

新納院は、時代とともに支配者が変わり、その領域も変動しましたが、常に重要な地域であり続けました。その歴史は、宮崎県の歴史を語る上で欠かせない要素の一つです。

まとめ

新納院は、現在の宮崎県児湯郡東部を中心とした地域を指し、平安時代から戦国時代にかけて様々な勢力による支配が繰り返された歴史的な場所です。小丸川流域の交通の要衝として、政治的にも経済的にも重要な役割を果たしました。

参考文献
* 『高鍋町史』：高鍋町史編さん委員会

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