山田有信

山田有信（やまだありのぶ）

山田有信は、戦国時代から江戸時代初期にかけての武将で、島津氏の家臣として活躍しました。薩摩山田氏は、元は平氏の流れを汲み、武蔵有国の子である式部少輔有貫が薩摩国に下向し、日置郡山田の地を領したことが始まりとされています。

生涯

有信は幼少の頃から島津貴久に仕え、その後、その子である義久に仕えました。宮之城や隈之城などの地頭を歴任し、天正3年（1575年）には犬追物の射手を務め、翌年には日向国高原城攻めで義久の太刀役を務めるなど、武将としての才能を早くから示しました。

天正5年（1577年）に島津氏が伊東氏を日向から追放すると、翌天正6年（1578年）2月には新納院高城の城主兼地頭に任じられます。しかし、同年、大友宗麟が6万余の大軍を率いて高城を包囲するという危機に直面します。この時、有信はわずか300の兵で籠城し、島津家久、吉利忠澄、鎌田政近、比志島国貞らの援軍と合わせて3,000余の兵で大友軍を足止めし、その後の耳川の戦いでの島津勢の大勝利に大きく貢献しました。この高城での籠城戦は、有信の武将としての勇猛さと知略を示す出来事として知られています。

その後も、有信は天正13年（1585年）の筑後国堀切城攻めや、翌天正14年（1586年）の筑紫広門征伐で活躍しました。しかし、天正15年（1586年）に豊臣秀吉の九州征伐が始まると、豊臣秀長軍が日向にまで南下し、再び高城に籠城することになります。この時も、わずか300余の兵で豊臣軍に抗戦しました。

島津軍本隊が根白坂の戦いで豊臣軍に敗れた後も、有信は義久への忠義を貫き、降伏勧告を拒否し続けました。しかし、義久自らの説得により、子の有栄を人質として差し出し、ようやく降伏しました。天正17年（1588年）には島津氏の家老にまで昇進し、その忠誠心と武将としての能力が認められました。

慶長14年（1609年）、主君である義久が病に倒れると、有信は自らが身代わりとなるよう神仏に祈り、その年に自身も病に倒れ亡くなりました。その忠義心に心を打たれた義久は、有信の棺の前で自ら焼香し、その死を深く悼んだと伝えられています。

山田有信は、その生涯を通じて島津氏に忠誠を尽くし、数々の戦で武功を挙げた名将として、後世に語り継がれています。

人物

有信は、武勇に優れていただけでなく、主君への忠誠心が非常に厚い人物でした。また、高城での籠城戦で見せたように、優れた指揮能力と状況判断力を持っていました。その忠義心は、自らが主君の身代わりとなることを願ったという逸話からも窺い知ることができます。

脚注

島津氏の家臣であり、多くの戦で武功をあげた。
高城での籠城戦では、少数で大軍を食い止め、島津氏の勝利に貢献した。
主君への忠誠心が厚く、身代わりとなって亡くなったとされる。
島津氏の家老にまで昇進した。

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