喜入忠続

喜入忠続（きいれ ただつぐ）

喜入忠続は、安土桃山時代から江戸時代前期にかけての武将で、島津氏の家臣として、後に薩摩藩の家老を務めた人物です。

生涯

元亀2年（1571年）、薩摩国において島津氏の家臣である喜入季久の四男として誕生しました。幼少の頃より浄光明寺に入り、長阿弥長重と名乗り仏門に身を置いていました。しかし、喜入氏を継いだ長兄の久道の一男一女が相次いで亡くなり、さらにその養子となる予定だった島津義弘の四男・万千代丸も夭折したため、喜入家の後継者問題が発生しました。この事態を受けて、島津義久は細川幽斎に相談し、天正17年（1589年）に忠続を還俗させ、久道の養子として家督を継がせることを決定しました（久道は慶長5年（1600年）に死去）。

還俗後、武将となった忠続は、島津義弘に従い文禄・慶長の役に出陣し、関ヶ原の戦いにも参戦しました。関ヶ原では義弘隊とはぐれてしまったため、近衛信尹を頼ってしばらくの間、その館に滞在しました。その後、無事に薩摩へ帰国すると、今度は島津忠恒の命により、薩摩に匿われていた宇喜多秀家の助命のための使者として、徳川秀忠に謁見するため薩摩と江戸を度々往復しました。この時、忠恒は忠続の交渉を円滑に進めるため、忠続が島津姓を名乗ることを義久から許されています。また、徳川家康が征夷大将軍に任じられた際には、その祝賀使者も務めました。

慶長9年（1604年）、長男の忠栄が関ヶ原の戦いで戦死した島津豊久の跡を継ぎ、その弟である忠仍の娘婿となったため、次男の忠高が嫡子となりました。慶長13年（1608年）には、島津義久の代理として、家久（忠恒）の代理である島津常久と共に江戸へ上り、慶長19年（1614年）には、有馬直純の転封に伴い、その旧領にいたキリシタンの取り締まりのために山口直友が派遣された際、忠続ら数名がその滞在をサポートする役目を担っています。

元和4年（1618年）、島津家久の家老に任命されました。その後も家久の使者として頻繁に江戸に上り、家老としての役目を寛永10年（1633年）まで務めました。家老を辞した後、義父である久道から受け継いだ永吉（現在の鹿児島県鹿児島市永吉）の領地を、父・季久の旧領である鹿籠（現在の鹿児島県枕崎市）と交換することになりました。寛永18年（1641年）には、家久の後を継いだ光久にも仕え、徳川家綱の誕生を祝う使者として江戸へ上りました。

正保2年（1645年）、75歳で亡くなりました。

喜入忠続は、仏門から還俗して武将となり、数々の重要な任務を遂行した人物です。島津家において、その才覚を発揮し、重要な役割を担いました。

参考文献

* 『本藩人物誌』 鹿児島県史料集（13）（鹿児島県史料刊行委員会）

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