喜連川社会復帰促進センター

喜連川社会復帰促進センター：PFI方式による革新的な刑務所運営

栃木県さくら市喜連川に位置する喜連川社会復帰促進センターは、日本における画期的な刑務所のひとつです。東日本で初めて、民間企業が運営に一部参加するPFI（Private Finance Initiative）方式を採用している点が大きな特徴です。1999年に廃止された黒羽刑務所喜連川刑務支所跡地を利用し、2007年10月に開所しました。

施設概要と収容者

約42ヘクタールの広大な敷地を有し、刑務所施設は約7万1200平方メートル、職員宿舎は約1万2100平方メートルの規模を誇ります。刑務官250名に加え、民間社員150名が運営に携わっています。

収容対象者は、刑期1年以上8年未満の男子受刑者約2000名です。犯罪傾向の進んでいない初犯者（ただし暴力団関係者は除く）が中心ですが、約500名は軽度の身体[[障害]]、知的[[障害]]、精神[[障害]]のある受刑者を受け入れています。ごく少数の女子受刑者も収容しています。

更生プログラムと職業訓練

喜連川社会復帰促進センターでは、更生に向けた様々なプログラムが提供されています。グループセッションを中心とした改善指導や、即戦力となるサービス業に特化した職業訓練は、受刑者の社会復帰を支援する重要な要素です。調理師などの資格取得も目指せます。

身体[[障害]]を持つ受刑者に対しては、理学療法士やトレーナーによるリハビリ、モザイクタイル制作やフラワーアレンジメント教室といった作業療法も行われています。高齢受刑者には、認知症予防のための脳トレプログラムも導入されています。車椅子利用者のための個室には、運動スペースも備えられています。庭園型運動場も整備され、受刑者の精神安定を図る工夫が凝らされています。

PFI方式による運営

喜連川社会復帰促進センターの運営は、PFI方式により民間企業が大きく関わっています。2022年4月からは、小学館集英社プロダクショングループが8年間の事業期間で運営を受託しています。このグループは、施設の維持管理、警備、職業訓練、事務支援、食事提供など、幅広い業務を担当しています。国は財政負担を軽減しつつ、維持管理費などを事業者に支払う仕組みです。事業者は、購買業務や職員食堂事業から収益を得ています。

小学館集英社プロダクショングループは、小学館集英社プロダクションを代表企業とし、エームサービス株式会社、東京美装興業株式会社、大林ファシリティーズ株式会社の4社で構成されています。それぞれの企業が、それぞれの専門性を活かして運営に貢献しています。

以前は、喜連川セコムグループが運営に携わっていました。PFI特区の指定を受けた栃木県では、既存施設の黒羽刑務所もPFI方式に移行し、2022年3月31日に閉庁しました。

著名な受刑者

過去、または現在、この刑務所に収容されていた著名な受刑者には、新井浩文氏、鈴木宗男氏、村上正邦氏、守屋武昌氏、佐藤英児氏、井川意高氏、D.O氏（君塚慈容氏）、河井克行氏などが含まれます。また、京都アニメーション放火殺人事件の犯人も、過去の服役経験があります。

沿革

喜連川社会復帰促進センターの設立には、地元の経済団体や関係機関の積極的な取り組みが貢献しています。2006年には「栃木さくら地域振興コンソーシアム」が設立され、2007年にはPFI特区の認定を受け、入札を経て喜連川セコムグループが運営を受託しました。

喜連川社会復帰促進センターは、PFI方式という新しい枠組みの中で、更生プログラムの充実や効率的な運営に積極的に取り組むことで、社会復帰支援のモデルケースとなり得る存在です。今後も、その取り組みは注目を集めることでしょう。

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