回天丸

回天丸（かいてんまる）

回天丸は、幕末の江戸幕府が保有していた木造外輪式の蒸気軍艦であり、特に宮古湾海戦での活躍が際立っています。この艦は、当初プロイセンの軍艦「ダンツィヒ（Danzig）」として1855年に建造され、その後イギリスで改装された経歴を持ちます。艦型としては、全長70.10m、幅10.46m、排水量は1,678トン、400馬力を誇ります。

建造と改装

回天丸は、初めプロイセンで建造され、商船職人たちが集められて最上のオーク材を使用し、木造外輪式の設計に従って完成しました。しかし、木造軍艦は寿命が短く、蒸気軍艦の技術革新が進む中で、外輪式は劣位となりました。そのため、文久2年（1863年）には軍籍をはずされ、イギリスの商人の手に渡ります。彼らはロンドンで艦を修理し、武装を新たに施した後、艦名を「イーグル」と改めました。

改装後の回天丸は、長崎に回航され、1865年に長崎奉行に購入され、幕府海軍の一翼を担うことになります。当初の乗組員も長崎奉行が選定し、艦長は柴誠一が務めました。1876年、幕府海軍に所属し、第二次長州征討に参加することになりました。

戊辰戦争と宮古湾海戦

戊辰戦争初期には、開陽丸を旗艦として大阪と兵庫間で活動し、薩摩藩の蒸気船を追跡しました。慶応4年には新政府軍に艦が譲渡される予定となりましたが、榎本武揚が拒否した結果、回天丸は徳川家に残されます。榎本艦隊として海戦に臨む中、回天丸は多大な活躍を見せました。特に宮古湾海戦では、甲賀源吾艦長の指揮のもと、犠牲者を出すも新政府軍を振り切る壮絶な戦闘を繰り広げました。

箱館湾海戦とその後

箱館湾海戦では、回天丸は孤軍奮闘を強いられ、ついには機関が損傷し、浮砲台として用いられることになります。最終的に新政府軍により回天丸は焼かれ、多くの兵士が上陸した後に残る船体の一部が遺されていました。回天丸の運命は非常に波乱に富んでおり、その活躍は多くの人々に語り継がれています。

後日談

後に、回天丸の元技師ネーリング・ボーゲルが回天丸の残骸に会うことになります。彼は、ダンツィヒ号の建造に関わった技術者であり、晩年にはその思い出を胸に、残された木材を使って椅子を作るなど、回天丸との不思議な縁を感じていました。回天丸はその名のもとに誇り高く日本の歴史に名を残す艦艇として、多くの語り草となっているのです。

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