国中公麻呂

国中公麻呂について

国中公麻呂（くになか の きみまろ）は、奈良時代に活躍した仏師であり、貴族でもあります。彼の姓は国（無姓）で、その後国中連に改姓しました。名は君麻呂や公万呂とも書かれ、彼の家系は百済系の渡来人に由来します。公麻呂は、官僚である国骨富の孫とされており、彼の祖父は百済の高官であり、当時の日本に帰化した背景を持っています。

経歴

公麻呂の経歴は、彼の祖父が天智天皇の頃、白村江の戦いの直後に日本に帰化したことから始まります。天平17年（745年）には正七位下から外従五位下に昇進し、翌年には造仏長官に任命されます。彼はその役職で、東大寺の盧遮那仏の造像を担当し、大仏殿の建設も監督しました。

公麻呂の功績はその後も続き、天平20年（748年）には従五位下、天平勝宝元年（749年）には聖武天皇の大仏殿行幸に際し、従五位上に昇叙されます。天平宝字2年（758年）には東大寺の大仏殿が完成し、公麻呂はその功績により国中連姓を賜ります。また、天平宝字5年（761年）に正五位下、造東大寺次官に叙任され、法華寺浄土院や香山薬師寺、石山寺の建造にも関与しました。

さらに、天平神護3年（767年）には従四位下に昇叙され、神護景雲2年（768年）には但馬員外介に転任。彼の生涯は多くの重要な役職や貢献によって彩られましたが、宝亀5年（774年）に卒去します。彼の最終的な官位は散位従四位下でした。

人物

公麻呂は、聖武天皇が思い描いた巨像、盧舎那仏の建造を手がけた仏師として特に有名です。この盧舎那仏は高さ約15メートルという巨大なものであり、その製作には当時の鋳工たちから挑戦する者が少なかった中、公麻呂はその優れた技術と思慮をもって建造に成功しました。

主な作品

公麻呂が手がけた確実な作品は少ないですが、彼の作品としては東大寺の盧舎那仏像をはじめとして、東大寺戒壇院の四天王立像、法華堂の不空羂索観音像などの乾漆の像が挙げられます。また、新薬師寺の十二神将像の製作にも関与したと考えられています。

官歴

彼の官歴は、『続日本紀』に詳細に記載されています。公麻呂は時期不詳の正七位下から始まり、天平17年（745年）の外従五位下から、徐々に階位を上げていきます。天平20年（748年）には従五位下、天平感宝元年（749年）には従五位上に昇進し、その後も様々な役職と官位を歴任しました。彼の最終官位は散位従四位下で、774年の死去に至りました。

このように、国中公麻呂はその技術と実績によって古代日本の文化に大きく貢献した歴史的な人物であり、特に東大寺の大仏制作において、その名を歴史に刻んでいます。

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