国民新党 (韓国)

国民新党：1997年韓国大統領選挙と保守派の挑戦

1997年、韓国大統領選挙を巡る政界の動きは激しく、国民新党の誕生はその象徴的な出来事の一つでした。本稿では、この短命に終わった政党の興亡と、その歴史的背景を詳細に解説します。

新韓国党分裂と国民新党の結成

当時与党であった新韓国党は、大統領候補選出において、李会昌氏を候補に決定しました。しかし、選出過程で敗れた李仁済京畿道知事（当時）は、選挙結果に強い不満を抱いていました。この不満が、韓国政界に大きな波紋を広げることとなります。

1997年9月8日、李仁済氏は京畿道知事を辞任。同月17日には新韓国党を離党し、大統領選への独自出馬を表明しました。これは、新韓国党に大きな衝撃を与え、党内の分裂を深刻化させる結果となりました。

その後、李仁済氏は国民新党の結成に向けて動き出します。10月7日には発起人大会を開催、14日には立党準備委員会を結成、そして11月4日には正式な立党大会を行い、大統領候補に李仁済氏、党総裁に李万燮氏を選出しました。こうして、国民新党は韓国政界に新たな勢力として登場したのです。

大統領選落選と解党

1997年12月に行われた大統領選挙において、国民新党の李仁済候補は、新政治国民会議の金大中候補に敗れました。大統領選での敗北は、国民新党の将来に大きな影を落としました。

翌1998年8月、国民新党は金大中政権与党である国民会議に吸収合併される形で解党しました。国民新党に所属していた8人の国会議員は、7人が国民会議へ、残る1人が連立与党の自由民主連合へそれぞれ合流しました。国民新党という保守政党は、わずか数ヶ月でその歴史の幕を閉じました。

国民新党の意義と歴史的背景

国民新党は短命に終わった政党でしたが、その存在は1997年韓国大統領選挙における政局の混沌を象徴するものでした。新韓国党内部の分裂、保守派勢力の再編、そして金大中政権の誕生という、韓国政治史における重要な転換期に国民新党は存在していました。

李仁済氏の出馬は、保守派内部の対立と分裂を浮き彫りにしました。また、国民新党の解党は、小政党が生き残るための困難さと、大きな政党への吸収合併という韓国政界の現実を改めて示しました。

国民新党の歴史を分析することは、1990年代後半の韓国政治、特に保守派勢力の動向を理解する上で非常に重要です。今後の研究において、国民新党の政策や活動、そして党内の人物関係などをより詳細に分析することで、韓国現代政治史の更なる解明に繋がるものと期待されます。

参考文献

環太平洋問題研究所編『韓国・北朝鮮総覧 2002 Vol.4』原書房
アジア経済研究所『アジア動向年鑑』1998年版、1999年版

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