国立科学博物館附属自然教育園

国立科学博物館附属自然教育園について

国立科学博物館附属自然教育園は、東京都港区白金台に位置する、国立科学博物館が所有する緑地です。約20万平方メートル（約20ha）の広大な敷地内には、多様な植物、昆虫、鳥類が生息しており、都心にありながら豊かな自然を体験できます。

自然環境の特徴

教育園は、古川（渋谷川）の南岸、標高32メートルの武蔵野台地上にあります。江戸時代以前から人の手が入りにくい状態で保たれてきたため、都心部が人口密集地となる以前の自然を今に伝える貴重な場所となっています。同じく屋敷地をルーツとする隣接の東京都庭園美術館とは対照的に、手つかずの自然が残されている点が特徴です。しかし、手入れがされていないわけではなく、武蔵野の自然に自生する野草や、土塁など、貴重な自然が保護されています。

歴史

園内は「旧白金御料地遺跡」として、埋蔵文化財包蔵地に指定されています。縄文土器や弥生土器、近世の遺物などが発見されており、古くから人が住んでいたことがわかります。室町時代には白金長者と呼ばれる豪族が居館を構え、江戸時代には高松藩主松平頼重の下屋敷として利用されました。明治時代には陸海軍の火薬庫となり、一般人の立ち入りが禁止されました。その後、宮内省帝室林野局に移管され、白金御料地となりました。太平洋戦争中には荒廃しましたが、戦後に文部省に移管され、1949年に「旧白金御料地」として天然記念物および史跡に指定され、同時に「国立自然教育園」として一般公開されました。

園内の状況

教育園内には、シイ林、マツ林、コナラ林、落葉樹林、草原、湿地など、多様な植生が見られます。1400種以上の植物、2100種以上の昆虫、約130種の鳥類が確認されています。また、教育管理棟では、自然教育園の自然を紹介する展示や、休憩スペース、ミュージアムショップなどが利用できます。

調査・研究

国立科学博物館の研究員によって、定期的に園内の生物相の調査が行われています。2016年から2018年にかけて行われた調査や、2021年には道路で切り離された「飛び地」の調査結果が報告書としてまとめられています。

アクセス

教育園へのアクセスは、東京メトロ南北線・都営地下鉄三田線の白金台駅から徒歩7分、またはJR山手線、東急目蒲線、前述の地下鉄2路線の目黒駅から徒歩9分程度です。

まとめ

国立科学博物館附属自然教育園は、都心に残された貴重な自然と歴史を体験できる場所です。多様な動植物が生息し、武蔵野の自然を今に伝えるだけでなく、歴史的な背景も持ち合わせています。自然観察や教育の場として、広く活用されています。

参考資料

平井聖ほか「白金長者屋敷」『日本城郭大系 第5巻 埼玉・東京』（新人物往来社、1979年）
国立科学博物館附属自然教育園飛び地調査委員会「6.発掘等調査の成果」『国立科学博物館附属自然教育園飛び地にかかる調査報告書〈資料編〉史跡にかかる個別調査報告』（国立科学博物館附属自然教育園、2021年）
附属自然教育園（外部リンク）
旧白金御料地 国指定文化財等データベース（外部リンク）
* 自然教育園報告（外部リンク）

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