国鉄トキ1000形貨車

国鉄トキ1000形貨車

国鉄トキ1000形貨車は、1969年に日本国有鉄道（国鉄）によって製造された無蓋貨車である。この貨車は、特に重量15トンから20トンの大型冷間圧延鋼板コイルを2〜3個輸送することを目的に設計されたもの。製造は、汽車製造東京支店において、当初4両（トキ1001 - トキ1004）が作られた。

トキ1000形は、42トン積み物資適合の二軸ボギー無蓋車であり、1968年に試作されたトキ9000形を量産化して生まれた。トキ9000形からの流れにより、基本的な構造は受け継がれつつも、自重が増加したため、積載可能重量は1トン減少している。1971年には、トキ9000形も量産化改造の上、トキ1000形に編入された。

特徴

この貨車の最大の特徴は、そのフラットな荷台であり、鉄鋼コイルを受けるための支持台が3基設置されている点にある。また、積荷が水分を嫌う特性をもっているため、荷役作業が容易になるように、幌の構造が工夫されている。中央部から二分割できるアコーディオン式の幌を装備しており、これが外観上の重要な特徴となっている。

幌は、ビニロンターポリン製で、鋼製の骨組みが縫い込まれており、蛇腹状に展開できる。妻面にはハンドルが取り付けられており、個別に妻側に折り畳むことが可能である。この構造は、幌の開閉機構として、試作車ではチェーン式とロッド式が比較されたが、最終的には量産車ではチェーン式が採用された。加えて、幌の本体は風速25メートルの強風にも耐えられるような強度を持っている。

塗装に関しては、当初はスカイブルー（青22号）であったものの、後に赤茶色（赤3号）に変更された。

技術的な仕様

トキ1000形の台枠中梁は、重量を効果的に保持するために、台車間で高さを増した魚腹形として設計されている。使用されている台車は、スリーピース形のころ軸受け式のTR214であり、ブレーキ装置にはK2制御弁を用いた自動積空切替装置が装備されている。

荷台の内寸は、長さ11,000 mm、幅2,530 mm、床面積は15.9 m²である。その他の主要なスペックとしては、全長12,000 mm、全幅2,764 mm、全高3,870 mm、自重は18トン（トキ9000形は17トン）である。台車中心間は7,700 mmで、最高運転速度は75 km/hに設定されていた。

運用と廃車

トキ1000形貨車は、千葉鉄道管理局管内の蘇我駅に常備され、宮城野駅や東成岩駅などで運用されていた。しかし、開閉式の幌の複雑な構造は保守が難しく、費用がかさむことから、本形式の製造はわずか5両で終了した。その後、鋼板コイル用の貨車としては、トキ21500形のようなスライド式の設計が主流となった。本形式は、1983年度までにすべて廃車となった。

参考文献

本記事では以下の文献を参考にしました。

• - 「国鉄貨車形式図集 I」1992年、鉄道史資料保存会刊 ISBN 4-88540-076-7
• - 「日本の貨車-技術発達史-」2008年、社団法人 日本鉄道車輌工業会刊

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