国鉄105系電車

105系電車について

105系電車（105けいでんしゃ）は、日本国有鉄道（国鉄）が1981年に製造した直流通勤形電車です。この車両は、国鉄分割民営化後に東日本旅客鉄道（JR東日本）と西日本旅客鉄道（JR西日本）によって引き継がれ、現在も多くの路線で利用されています。

背景と目的

105系電車は、主に地方の電化ローカル線に残っていた旧形国電を代替する目的で開発されました。旧形国電とは、戦前から1950年代に製造された43系や72系のことを指し、これらを最新の新性能電車に置き換える計画が立てられました。特に、人口の少ない地域や利用者の少ない時間帯に対応するため、この車両が必要とされました。

大都市圏では2両編成の運行が基本であり、経済的かつ効率的に運用するために105系は、駆動機器を電動車1両に集約する「1M方式」を採用しています。この方式は、経営的な側面からも有利であり、国内外の近郊区間に特に適応しています。

構造と機能

105系電車は、経済性や将来の改造に柔軟に対応できるように設計されています。主な構造としては、主制御器や主抵抗器は新たに開発されたもので、他の機器類は標準品を採用しています。これにより、運用コストの削減を図っています。特に、耐寒耐雪設備や抑速ブレーキが容易に追加できる設計は、冬季の運行において重要なポイントです。

この電車は、基本的に1M1T（電動車1両に付随車1両を組み合わせる）という構成を採用しています。これにより、運転に必要な機器類はすべて電動車に搭載され、単独でも運転が可能になっています。性能面でも、特に駅間距離が短い路線においても、必要な力を十分に発揮できるようになっています。

製造と形式

105系電車は、1981年に福塩線をはじめ、宇部線・小野田線に投入されました。初めは制御電動車のクモハ105形と制御車のクハ104形を連結した2両編成が主流でしたが、後に中間電動車や付随車も追加され、4両編成が可能になりました。

また、105系は数回の改造を受けており、例えば、奈良線や和歌山線用には既存の103系を改造した車両も存在します。これらの改造車両は、その基本的な性能や構造が新造車とほぼ同じですが、客用扉の数や構造に若干の違いがあります。

改造とアップデート

105系電車は、国鉄時代から多くの改造が施されてきました。例えば、1985年以降は一部車両に冷房装置を搭載した冷房改造が実施され、2010年には奈良デスティネーションキャンペーンに合わせたラッピング列車も運行されました。以降も、地方自治体との連携でトイレ設置や車両外装の変更が行われ、常に利用者のニーズに応えています。

近年では、ワンマン運転への対応や、新たな冷房装置の搭載も進められています。2021年には、近畿地方での全運用が終了したものの、地域の交通インフラの一部としての役割は依然として重要です。また、他の形式との併結も可能であり、効率的な運用が図られています。

現在の状況

2023年現在、105系電車はJR西日本エリアを中心に運用されており、その存在は多くの利用者に親しまれています。特に福塩線や宇部線、小野田線などでの利用は依然として盛況であり、地域の交通インフラの一翼を担っています。

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