国鉄EF67形電気機関車

EF67形電気機関車

EF67形は、国鉄が1982年から導入した直流電気機関車で、後にJR貨物にも引き継がれました。特に、山陽本線の瀬野駅～八本松駅間の急勾配区間（通称「瀬野八」）で、貨物列車の後部を補助する「補機」として活躍しました。

開発の背景

瀬野八区間では、以前はEF59形が補機として使用されていましたが、老朽化が問題となっていました。当初はEF60形やEF61形を改造した機関車で置き換える計画がありましたが、重連運転ができないなどの問題が生じ、1200t級の列車に対応できる新たな補機が必要となりました。そこで開発されたのがEF67形です。

車両の特徴

EF67形は、既存のEF60形やEF65形を改造して製造されました。全車両が広島工場（後の広島車両所）で改造され、外観は赤11号の塗装が特徴的です。これは広島県の県花であるモミジをイメージしたもので、「もみじ色」と呼ばれています。また、前面のステンレス飾り帯は黄色に着色されています。直流機関車でありながら、青色ではなく赤色が採用されたのは、瀬野八区間での限定運用という特殊な事情によるものです。

制御システム

制御方式には、粘着力を確保するため電機子チョッパ制御が採用されました。これにより、1両でEF59形2両分の補機能力を発揮できます。主電動機は1基ごとに制御装置を持ち、往路では力行に、復路では回生ブレーキに使用されます。回生ブレーキは、機関車単独で回送する際にのみ使用されます。また、主電動機は6個永久並列接続となり、1基あたりの出力が向上しました。

外観

車体前面には、つらら切りが取り付けられています。これは、瀬野八区間の冬季における雪害対策として施されました。また、車体側面には、民営化後にJRマークが追加されました。後に、JR貨物のロゴに変更された車両も存在します。

番台別解説

基本番台

1982年から運用を開始したグループで、EF60形0番台から改造されました。1エンド側に貫通扉とデッキを備えており、走行中に列車から切り離すための自動解放装置が装備されていました（後に撤去）。車内には、東洋電機製造製のチョッパ装置などが搭載されています。

100番台

1990年から運用を開始したグループで、EF65形0番台を改造して製造されました。基本番台よりもデッキが小型化され、自動解放装置は省略されています。また、101・102号機と103～105号機では、搭載するチョッパ装置の素子が異なります。更新工事を受けた車両は、塗装が変更され、シングルアーム式パンタグラフを搭載していましたが、後に再びPS22Bパンタグラフに戻されました。

運用と終焉

当初は瀬野機関区に配置されていましたが、後に広島機関区、さらに広島車両所へと転属しました。瀬野八区間の貨物列車補機として長年活躍しましたが、老朽化のため後継機であるEF210形300番台に置き換えられました。2022年までに全機が運用を終え、現在は1号機と105号機が広島車両所で保存されています。

保存機

EF67 1: 広島車両所に保存されているトップナンバー機です。
EF67 105: 広島車両所に保存されているラストナンバー機です。

参考文献

鉄道ジャーナル社『鉄道ジャーナル』
2005年5月号 No.463　特集：鉄道貨物輸送の現状
別冊 No.4 『国鉄現役車両1983』 1982年
交友社『鉄道ファン』
1990年6月号連載「近代形電機転身の記録4」（藤本 勝久）
1991年1月号連載「近代形電機転身の記録7」（藤本 勝久）
2011年10月号 No.606 『JR貨物 技術開発と新車開発の話題』
2016年12月号 No.668 『EF67形ものがたり』
イカロス出版『Jtrain』
2014年秋号 Vol.55 『東洋電機製造技術者に聞く　EF67開発秘話』
東洋電機製造『東洋電機七十五年史』
「チョッパ電気機関車の誕生」p.185
東洋電機製造『東洋電機技報』
第53号（1982年11月発行）「EF67形式チョッパ制御電気機関車」p.9-18
第77号（1990年6月発行）「1.鉄道編 JR貨物向け電気機関車 EF67形100番台」 p.3
第81号（1991年9月発行）「1.鉄道編 日本貨物鉄道向 EF67 100形電気機関車用電機品」p.4

関連項目

日本国有鉄道
日本貨物鉄道
EF59形電気機関車
EF210形電気機関車
山陽本線
瀬野八

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