圓洲角

圓洲角（ユエンチャウコック）は、香港新界の沙田区に位置する地域であり、かつては沙田海に浮かぶ小さな島でした。この地域は、その歴史と地形の変化によって、独特の発展を遂げてきました。

歴史

もともと「圓洲」と呼ばれていたこの島は、標高70メートルの小さな島でした。19世紀には、九龍から広東方面への旅人が立ち寄る場所として、王氏が「義利客棧」という施設を設けましたが、その後、その役割は他の場所に取って代わられました。

1970年代に入ると、香港政府は沙田ニュータウンの開発を始め、沙田海の埋め立てを進めました。この埋め立てによって、圓洲は東岸の一部となり、かつて島だった場所が突き出た形から、「岬」を意味する「角」が加えられ、「圓洲角」と改称されました。しかし、埋め立てはその後も進み、小瀝源や沙田囲といった他の地域とつながり、現在では岬の形は失われ、小さな丘が残るのみとなっています。

1980年10月には、圓洲角に仮設住宅が設置され、最盛期には4,560人もの人々が生活していました。この仮設住宅は、1991年から1994年にかけて段階的に取り壊され、その跡地には太和邨、広源邨、利安邨といった住宅地が建設されました。

ニュータウン建設の初期段階には、圓洲角周辺の埋立地に沙田第一城や愉田苑などが建設され、この一帯は現在も「圓洲角」と呼ばれています。しかし、沙田第一城の知名度が上がるにつれて、この地域は「第一城区」と呼ばれることもあります。近年では、城門川東岸の開発が進み、大規模な住宅が多く建設されたため、現在では圓洲角を含む東岸全体を指す地名として「城河東」という名称が定着しています。

圓洲角山

圓洲はほぼ原形のまま残されており、現在は城河東の中央にある小さな丘「圓洲角山」となっています。この丘は、大涌橋路、沙田路、圓洲角路と、住宅に囲まれています。かつて島であった場所は、現在は圓洲角公園として整備されています。

圓洲角山は、標高71メートルで、沙田海が埋め立てられる前の「圓洲」の姿を残しています。現在は娯楽文化事務局によって管理されており、山道は日中のみ開放されています。山中には、バーベキュー場、ジョギングコース、標柱、展望台、石造の日時計などが設置されています。

王屋

圓洲角の南東には、19世紀に興寧県の王氏夫妻によって建てられた「王屋」があります。圓洲角の埋め立てが進む際、香港政府は王屋を保存し、法定古跡に登録しました。また、隣接する場所に王屋花園も造成されました。

主な施設

圓洲角には、以下の施設があります。

威爾斯親王医院
沙田第一城
愉田苑
愉翠苑
富豪花園
王屋村民宅
王屋村
圓洲角公園
圓洲角体育館
圓洲角公共図書館

交通

圓洲角へのアクセスは、以下の交通機関が利用できます。

港鐵（MTR）
馬鞍山線：第一城駅
バス
九龍・新界方面：49X、73A、80K、82K、82P、82X、83K、84M、85A、86、89S、89X、240X、281A
香港島方面：182、682B、982X、N182
ランタオ島・空港方面：A41、N42
ミニバス
65A、65K、65S、804、806A、808、808P、811、811A、813、813A

外部リンク

* 沙田王屋村民宅 - 香港古物古蹟辦事處

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