土佐くろしお鉄道TKT-8000形気動車

土佐くろしお鉄道TKT-8000形気動車は、1988年（昭和63年）から1999年（平成11年）にかけて8両が製造された、土佐くろしお鉄道の宿毛線・中村線で使用される気動車です。この車両は製造時期によって、走行装置や内装にいくつかの違いが見られます。

概要

1988年4月、旧国鉄中村線が第三セクターの土佐くろしお鉄道として開業する際に、5両のTKT-8000形が導入されました。その後、宿毛線の開業に合わせて2両が追加され、さらに1両が追加製造されました。第三セクター鉄道では、メーカーが用意した標準仕様の車両を採用することが一般的でしたが、TKT-8000形は車体寸法や材質が標準仕様とは異なっています。

初期に製造された5両と、その後に製造された3両では、エンジンが異なります。最初の5両には新潟鐵工所製の6H13ASディーゼルエンジンが搭載され、183kW（250PS）に設定されています。一方、後の3両には新潟鐵工所製のDMF13HZエンジンが搭載され、242kW（330PS）に設定されています。全車両が正面貫通式で両運転台、トイレが設置されており、各車両には愛称が付けられています。

最初の7両はセミクロスシートが採用されていますが、最後に製造された1両はイベント対応として、お座敷としても利用できるロングシートとなっています。2011年3月には、イベント対応車を除く7両の外装が、沿線自治体のラッピングに変更されました。

車体

第三セクター鉄道では、新潟鐵工所製のNDCまたは富士重工業製のLE-Carといったレールバス型の気動車が導入されることが多いですが、TKT-8000形は全車が新潟鐵工所製でありながら、車体全長、幅、材質が標準型とは異なっています。この車両は、国鉄キハ31形気動車と同寸法の全長17,750mm、幅2,800mmのステンレス製です。

前面は貫通式で、乗務員室は左側に配置され、乗務員用扉はありません。客用扉は幅900mmの折り戸で、片側2箇所に設置されています。運転室がない側は車端に、運転室がある側は運転室小窓の直後に設けられています。扉間には幅1,470mmの固定窓が3組、その両側に780mm幅の1枚上昇式窓が3組設けられています。全車に洋式トイレが設置され、トイレがある部分は窓が2枚なく、ドア開閉時の監視用の小窓がドアとトイレの間にあります。車体外部の側面窓下にはマリンブルーとライトブルーの帯が入り、正面貫通扉と側面扉脇には愛称のマークが入れられています。

TKT-8001から8005、8011、8012の車内は、セミクロスシートで、ドア付近はロングシート、車体中央部に2人掛けの転換クロスシートが通路の両側に6脚ずつ配置されています。TKT-8021は日本宝くじ協会の助成を受けた「宝くじ号」で、全席ロングシートで床面に畳を敷いてお座敷車として使用できます。全車ワンマン運転用の機器を備えています。

走行装置

TKT-8001から8005には、新潟鐵工所製の6H13AS（DMF13HS）ディーゼルエンジンが搭載されており、定格出力は183kW（250PS）/1,900rpmです。その他の車両には、同社製のDMF13HZエンジンが搭載され、定格出力は242kW（330PS）です。動力は、TKT-8001から8005には新潟コンバーター製のTACN-22-1100液体変速機を、それ以外の車両にはTACN-22-1621液体変速機を介して2軸駆動の台車に伝達されます。TKT-8001から8005の台車はNP120D/T（枕ばね：上枕空気ばね、軸箱支持：軸ばね式）、それ以外の車両の台車はNP131D/T（枕ばね：ボルスタレス空気ばね、軸箱支持：積層ゴム式）となっています。制動装置はDE1A自動空気ブレーキで、JR四国の在来型気動車と連結運転が可能です。

空調装置

TKT-8001から8005の冷房装置は、勾配区間でも冷房効果が低下しないように専用機関で駆動される能力30.4kW（26,000kcal/h）のAU34が搭載されています。それ以外の車両には、機関直結式の36.1kW（31,000kcal/h）の冷房装置が搭載されています。暖房装置は、エンジン排熱を利用した温風式です。

改造工事

登場後、TKT-8000形には各種の改造工事が行われています。

更新工事

2010年度にTKT-8005、2011年度にTKT-8001に対して更新工事が実施されました。

車体ラッピング

2006年4月には、イベント対応仕様のTKT-8021にやなせたかし氏がデザインした「だるま夕日」のラッピングが施されました。また、2011年3月には、一般仕様の7両に沿線自治体のイメージに基づいたラッピングが施されました。

車椅子対応工事

2011年10月から11月にかけて、TKT-8001から8005に車椅子スペース設置工事が、TKT-8011、8012、8021には車椅子固定用のロープが設置されました。

車歴

運用

1988年4月1日、JR四国中村線の窪川駅～中村駅間43.0kmが、第三セクターの土佐くろしお鉄道に移管されるとともに、TKT-8000形5両が新潟鐵工所で製造されました。1997年10月には、宿毛線の中村駅～宿毛駅間23.6kmが開業し、2両が増備されましたが、エンジン、台車、空調方式などが変更されています。1999年には、日本宝くじ協会の助成を受けたイベント対応の1両が追加製造されました。2013年10月からは、週末を中心にTKT-8021を「サイクルトレイン」として運行しています。

出典

参考文献

寺田祐一『私鉄気動車30年』JTBパブリッシング、2006年。ISBN 4-533-06532-5。
『鉄道ピクトリアル』通巻512号「新車年鑑1989年版」（1989年5月・電気車研究会）
『鉄道ピクトリアル』通巻658号「<特集> レールバス」（1998年9月・電気車研究会）
『鉄道ピクトリアル』通巻660号「新車年鑑1998年版」（1998年10月・電気車研究会）
『鉄道ピクトリアル』通巻692号「新車年鑑2000年版」（2000年10月・電気車研究会）
『鉄道ピクトリアル』通巻708号「新車年鑑2001年版」（2001年10月・電気車研究会）
『レイルマガジン』通巻230号付録（2002年11月・ネコ・パブリッシング）
『鉄道ファン』通巻505号（2003年5月・交友社）
『レイルマガジン』通巻250号（2004年7月・ネコ・パブリッシング）
『鉄道ピクトリアル』通巻855号「鉄道車両年鑑2011年版」（2011年10月・電気車研究会）
『鉄道ピクトリアル』通巻868号「鉄道車両年鑑2012年版」（2012年10月・電気車研究会）
『私鉄車両編成表 2017』（2017年7月・交通新聞社）

Web資料

“台車近影 NP120D　NP120T ／鹿島鉄道KR-500形”. 鉄道ホビダス (2008年5月21日).
“だるま夕日号しゅっぱーつ”. 四万十市 (2006年4月30日).
“土佐くろしお鉄道【サイクルトレイン】運行”. 四万十市.
“中村・宿毛線イメージキャラクター紹介”. 土佐くろしお鉄道中村・宿毛線運営協議会.

外部リンク

* 土佐くろしお鉄道株式会社 TOSA KUROSHIO TETSUDO (railway) Co.,Ltd.

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