土佐広周

土佐広周: 室町時代の土佐派画家

土佐広周（とさ ひろちか/ひろかね、生没年不詳）は、室町時代中期に活動していた土佐派の画家です。彼は土佐行広の長男として生まれ、初名は光持または具持、法名は経増とされています。官位としては従五位上に叙せられ、弾正忠や土佐守としても知られています。

経歴と活躍

広周の幼少期には父から大和絵を学ぶ機会があり、彼の芸術家としての基盤が築かれました。彼の生涯に関する詳細な資料は少ないものの、『親長卿記』によって1439年から1492年の間に存命であったことが確認されています。特に、1439年には後小松上皇の7回忌法要において、本尊の制作に携わったことが記録されています。これにより、彼は丹波三箇北荘内に私有地を賜り、1459年には近江国金勝寺領を得るなど、徐々に地位を確立していきました。

また、1438年頃からは室町幕府や後花園上皇に仕官し、将軍や皇室に対して多くの絵画を献上するなど、多岐にわたる活動を行いました。彼は肖像画の制作だけでなく、仏画にも手を広げ、晩年には土佐行定と共に『明恵上人絵巻』を制作したと伝えられています。

その作風は平明で、多くの人々に親しまれたことでしょう。彼はまた、従五位上に叙せられるとともに、弾正忠や土佐守の役職も歴任しました。

主な作品

土佐広周の代表作には、次のようなものがあります。

• - 『天稚彦草子』: 行広による作品との信頼性が高い絵画であり、現在はベルリン東洋美術館に所蔵されています。
• - 『普賢菩薩像』: 後花園上皇の百ヵ日法要の際に1465年に制作された作品です。
• - 『地蔵菩薩像』: 大炊御門信子（嘉楽門院）の追善にあたる作品で、1488年に制作されました。
• - 『足利義政盃台絵』: 1465年に制作されたとされています。

これらの作品の中で、特に仏画2点は皇室に献上された経歴があり、彼が宮廷付の絵師として任命された可能性が高いと考えられていますが、その詳細に関しては不明な点も残されています。

また、後の土佐光起によって『花鳥図屏風』が広周の作品であるとの提言がありますが、これに関しても確証は持たれていません。

最後に

土佐広周は、室町時代中期において大和絵を中心に活動した土佐派の画家として、後の世代に大きな影響を与えたと考えられています。その平明な作風と多彩な作品は、今なお多くの人々に語り継がれています。

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