土岐持益 (守護)

土岐持益（とき もちます）の生涯と影響

土岐持益は、室町時代にあたる時期に活躍した武将であり、美濃の守護大名でもあります。彼の父である土岐頼益が亡くなったことで、持益はわずか9歳で家の主となりました。この青年期から彼の先代の武将たちとの歴史的つながりの中で、その影響力を発揮しようと奮闘しました。

初期の軍事行動

持益は応永21年（1414年）、伊勢で発生した後南朝の北畠満雅の反乱に際し、翌年に出兵し鎮圧活動を行いました。これにより彼の腕前を知らしめるとともに、美濃の地位を強固なものとしました。その後、持益は永享11年（1439年）には侍所頭人を務めることとなり、さらに次期の権力者である鎌倉公方足利持氏の遺児、成氏を預かるなどの重要な役割を担っていました。

このような政治的背景の中で、持益は時に南朝皇族と手を組んで再度の北畠の挙兵に立ち向かいました。特に正長元年（1428年）には、皇位を得られなかった小倉宮聖承が逃げ込み、再度挙兵を試みると持益は土岐家の重臣たちと共に出兵してこれを鎮圧しました。この戦いは持益の将軍としての能力を示し、彼の名声を高める重要な出来事となりました。

内乱と権力構造の変化

しかし、持益の人生は順調ばかりではありませんでした。文安元年（1444年）には、美濃で守護代を巡る争いが勃発し、美濃錯乱と呼ばれる内乱状態に発展します。斎藤氏が勝利を収める一方で、持益はその指導力を発揮できず、結果的に守護代の植民地化の進行を許してしまいました。この内乱は、持益にとっての暗い転機となります。

康正元年（1455年）、嫡男持兼が早世すると持益はその庶子を後継者として望むものの、他の大族との権力闘争に巻き込まれます。特に斎藤利永との争いが熾烈となり、持益は隠居に追い込まれる結果となりました。この事は、美濃における守護大名の地位が大きく変動することを示していました。

土岐氏の変遷と影響

土岐持益は1474年に69歳で死去し、彼の死後、美濃における土岐氏の名跡は一色氏に譲られました。これにより土岐氏の嫡流は持益の代で断絶し、その後の日本史における守護代の力の強化を示す結果となりました。このように、持益の生涯は単なる武将の物語に留まらず、室町時代における日本の権力構造とその変動を象徴するものと言えます。土岐持益は武士として、多くの困難に直面しながらも、その一族の存在感を示し続けました。

参考文献

• - 谷口研語『美濃・土岐一族』新人物往来社、1997年。
• - 横山住雄『美濃土岐氏―平安から戦国を駆け抜けた本宗家の戦い』戎光祥出版株式会社、2024年4月10日。ISBN 978-4-86403-504-0。

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