土師甥

土師甥について

土師甥（はじの おい）は、飛鳥時代において重要な役割を果たした日本の官人です。彼は「勤広参」として知られる冠位を持ち、政府でその職務を遂行しました。彼の経歴は特に、唐への留学とその後の帰国に関連した出来事で注目されています。

経歴と留学

土師甥は、唐に留学していた時期があり、そこでは新たな知識と技術を学んでいました。天武天皇13年、彼は同じ留学生であった白猪宝然と共に、これまでの経験を生かして新羅を経由して筑紫に帰国しました。この留学の際、新羅政府は彼らの帰国を支援するために、送使である大奈末と金物儒を派遣しました。これにより、留学中に唐に捕らえられていた日本からの捕虜も同時に送還されることとなり、この出来事は当時の大和政権にとって非常に重要なものでした。

捕虜として送還されたのは猪使子首と筑紫三宅得許の二名であり、彼らは戦後の帰国者として注目されました。このような動きは、大和政権に新たな歴史的な影響を与えたと考えられています。

大和政権への影響

土師甥が帰国した際の新羅政府との交流は、後の持統天皇4年（690年）にも影響を及ぼします。この年、新羅から派遣された大奈末と金高訓が、唐から帰国した日本の学問僧を日本に送還しました。この際、土師甥と以前来日した新羅使に対する接待が同様に行われ、二国間の交流関係が強化されたことが伺えます。これにより日本と新羅の関係は深まり、両国間の文化交流が進展したとされています。

大宝律令と報奨

文武天皇4年（700年）、土師甥は大宝律令の撰定に功があったとして、19人の官人と共に特に高い報奨を受けました。この際の冠位は再び「勤広参」であり、彼の官人としての評価の高さを示しています。彼の貢献は、後の日本の律令政治の発展においても重要な役割を果たしたと考えられています。

参考文献

• - 宇治谷孟『日本書紀 （下）』講談社〈講談社学術文庫〉、1988年
• - 宇治谷孟『続日本紀 （上）』講談社〈講談社学術文庫〉、1992年
• - 宝賀寿男『古代氏族系譜集成』古代氏族研究会、1986年

土師甥は飛鳥時代の文化や政権の変遷に深く関与した人物であり、彼の業績は今日でも広く評価されています。

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