地人会 (作曲家グループ)

地人会

地人会は、1948年に設立された日本の作曲家グループです。このグループは、戦後の日本の音楽界において、独自の活動を展開しました。西洋音楽の伝統を尊重しながらも、日本の文化との調和を模索し、新しい音楽の創造を目指したことが特徴です。

設立の背景と趣旨

1948年7月18日、パリで音楽を学んだ平尾貴四男を中心に、安部幸明、高田三郎、貴島清彦の4人の作曲家によって「地人会」は設立されました。安部幸明と高田三郎は東京音楽学校でクラウス・プリングスハイムに師事し、貴島清彦は日本大学で池内友次郎に師事しました。彼らの結成趣旨は、「音楽の伝統を尊重し」、「西洋文明と我々の文化遺産との問題」を深く見つめながら、「地に足をつけて」前進することでした。この理念は、戦後の日本の音楽界において、国際的な視野と同時に、自国の文化を大切にするという姿勢を示しています。後に、池内友次郎の弟子である島岡譲、橋本國彦の弟子である小林福子がメンバーに加わりました。

演奏会

地人会は、1949年から1955年にかけて、6回の演奏会を開催しました。これらの演奏会では、メンバーの作品が数多く発表され、当時の音楽シーンに大きな影響を与えました。

地人会第1回作品発表会

1949年4月14日　毎日ホール
平尾貴四男：三重奏曲
安部幸明：弦楽四重奏曲第6番
貴島清彦：「孔雀船」より（伊良子清白詩）
高田三郎：Vnソナタ

地人会第2回作品発表会

1950年3月1日　毎日ホール
島岡譲：ベートーヴェンの主題による変奏曲
貴島清彦：弦楽四重奏曲第1番
高田三郎：VcとPfの為の小奏鳴曲
安部幸明：FlとPfの為の奏鳴曲第2番
平尾貴四男：奇想組曲

地人会第3回

1950年12月6日　YWCAホール
小林福子：主題と変奏曲
島岡譲：Vn奏鳴曲
高田三郎：立原道造の詩による4つの歌曲
安部幸明：弦楽四重奏曲第7番
平尾貴四男：管楽五重奏曲

地人会第4回

1951年10月16日　YWCAホール
小林福子：Pfソナタ
貴島清彦：VnとPfの為のソナタ
平尾貴四男：Obソナタ
安部幸明：アルト・サクソフォーンとPfの為の嬉遊曲
高田三郎：室内組曲

平尾貴四男追悼演奏会

1954年12月15日　山葉ホール
平尾貴四男：FlとPfの為の小奏鳴曲
平尾貴四男：4つの日本民謡
平尾貴四男：ObとPfの為の奏鳴曲
平尾貴四男：VnとPfのための奏鳴曲
平尾貴四男：木管五重奏曲

地人会第5回

1955年3月3日　山葉ホール
安部幸明：弦楽四重奏曲第8番
貴島清彦：小管弦楽のための3つの瞑想曲
高田三郎：マリオネット
安部幸明：9楽器のための嬉遊曲

これらの演奏会を通じて、地人会は多様な編成による作品を発表し、各作曲家の個性を際立たせました。

参考文献

平尾貴四男「地人会の結成について」『音楽芸術』6巻9号 1948.10, p28-30
日本近代音楽館『戦後作曲家グループ・活動の軌跡 1945-1960』 (奏楽堂春の特別展「戦後音楽の旗手たち」) 1998.04, pp6-7

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