坂内永三郎

坂内永三郎（さかうち えいざぶろう）

坂内永三郎は、1907年1月11日に福島県で生まれた日本の俳優です。本名は坂内永二郎といい、阪内栄三郎、坂内英二郎という芸名も使用していました。彼の足跡は、日本の映画史における重要な時期と深く結びついています。

生い立ちと初期のキャリア

坂内は、京都の新興キネマに所属し、1934年10月11日公開の寿々喜多呂九平監督作品『七宝の桂』で映画デビューを果たしました。その後、マキノ正博が設立したマキノトーキー製作所へ移籍し、1936年から第二期入社として参加しました。マキノトーキー製作所は短命に終わりましたが、彼は東宝映画京都撮影所へ移り、戦前、戦後を通して数々の作品に出演しました。俳優座に所属していた時期もあったようです。

中川信夫との交流

特筆すべきは、映画監督の中川信夫との深い親交です。中川の妻と坂内夫妻との間には、マキノトーキー時代からの交流があり、中川は坂内妻が寂しがっているという理由で、1年間毎日手紙を書いたという逸話も残っています。このエピソードは、坂内の人間関係を物語る上で重要なものです。

その後の活動と晩年

1976年の『映画年鑑』には、川崎市多摩区登戸に在住していたという記述が見られますが、それ以降の版には彼の情報は掲載されていません。残念ながら、坂内永三郎の没年は現在も不明です。

フィルモグラフィー

坂内永三郎は、数多くの映画に出演しており、そのフィルモグラフィーは日本の映画史を彩る貴重な記録です。以下に主な出演作品を記します。


新興キネマ

1934年 『七宝の桂』
1934年 『仙太の仁義』
1935年 『明治十三年』
1935年 『お伝地獄』
1935年 『地獄囃子 前篇』
1935年 『地獄囃子 後篇』

マキノトーキー製作所

1936年 『旅の馬鹿安』
1936年 『松平外記』
1936年 『丹下左膳 乾雲必殺の巻 第一篇』
1936年 『丹下左膳 坤竜呪縛之巻』
1936年 『加賀見山』
1936年 『江戸の花和尚』
1936年 『修羅八荒 第一篇』
1936年 『修羅八荒 第二篇』
1936年 『修羅八荒 第三篇』
1936年 『槍持街道』
1936年 『ごろんぼ街』
1936年 『忠烈肉弾三勇士』
1936年 『涯なき航路』
1937年 『青春五人男 前篇』
1937年 『旗本八萬騎』
1937年 『女左膳 第一篇妖火の巻』
1937年 『女左膳 第二篇魔剣の巻』

東宝映画京都撮影所

1938年 『お産と民俗』
1939年 『沼津兵学校』
1939年 『幼き者の旗』
1940年 『金語楼のむすめ物語』
1940年 『海軍爆撃隊』
1940年 『嵐に咲く花』
1940年 『闘ふ男』
1940年 『熱砂の誓ひ 前篇』
1940年 『熱砂の誓ひ 後篇』
1941年 『指導物語』
1941年 『川中島合戦』
1942年 『緑の大地』
1942年 『水滸伝』
1942年 『ハワイ・マレー沖海戦』
1943年 『姿三四郎』
1943年 『秘めたる覚悟』

戦後

1947年 『銀嶺の果て』
1947年 『春の饗宴』
1948年 『第二の人生』
1949年 『異国の丘』
1949年 『私刑 リンチ』
1950年 『女の四季』
1951年 『袴だれ保輔』
1951年 『せきれいの曲』
1951年 『武蔵野夫人』
1952年 『荒木又右衛門 決闘鍵屋の辻』
1952年 『慶安秘帖』
1952年 『西鶴一代女』
1952年 『戦国無頼』
1952年 『慟哭』
1952年 『人生劇場 第一部 青春愛欲篇』
1952年 『春の囁き』
1953年 『親分の青春』
1953年 『午前零時』
1953年 『恋人のいる街』
1953年 『逃亡地帯』
1953年 『続・浮雲日記』
1953年 『戦艦大和』
1953年 『夕立勘五郎』
1953年 『北海の虎』
1954年 『叛乱』
1954年 『ウッカリ夫人とチャッカリ夫人 やりくり算段の巻』
1957年 『飛竜鉄仮面』
1958年 『天皇・皇后と日清戦争』
1960年 『ボス表へ出ろ』
1961年 『ネオンの海の暴れん坊』

参考文献

『出演者名簿 昭和48年度版』、著作権資料協会、1972年発行
『映画年鑑 1977』、時事映画通信社、1976年発行
『映画渡世 天の巻 - マキノ雅弘自伝』、マキノ雅裕、平凡社、1977年
『東宝特撮映画全史』監修 田中友幸、東宝出版事業室、1983年
『映画監督 中川信夫』、中川信夫、リブロポート、1987年

外部リンク

Eisaburo Sakauchi - IMDb
坂内永三郎 - 日本映画情報システム
坂内永三郎 - 映連データベース
坂内永三郎 - 東京国立近代美術館フィルムセンター
坂内永三郎 - 日本映画データベース
坂内永三郎 - KINENOTE
坂内永三郎 - allcinema
坂内永三郎 - 映画データベース （東宝）



坂内永三郎は、その長いキャリアを通じて、様々な役柄を演じ、日本の映画史にその名を刻みました。彼の出演作品は、今もなお多くの映画ファンに愛されています。

もう一度検索