城山城 (播磨国)

城山城（きのやまじょう）

兵庫県たつの市にそびえる城山は、その山頂に古代と中世、二つの時代の城郭遺跡を抱く特異な場所です。標高458メートルの亀山に位置し、揖保川の右岸を見下ろすこの地は、古来より戦略上の要衝でした。

古代山城

7世紀末、白村江の戦いに敗れた大和朝廷が、唐・新羅の侵攻に備えて築いたとされるのが、この城山城の古代山城です。神籠石式山城として知られ、兵庫県内では最も古い古代山城とされています。山体には石塁が組まれ、城門の礎石なども発掘されており、当時の防御施設の様子を今に伝えています。

中世山城

14世紀、南北朝時代に入ると、この地に新たな城が築かれました。赤松円心の嫡男、赤松則祐が、父の居城であった白旗城が播磨の西に寄り過ぎていたため、新たな拠点として城山城を選んだのです。1352年（正平7年/文和元年）から10年以上の歳月をかけて築かれたこの山城は、兵庫県下でも屈指の規模を誇りました。

城の麓には、則祐と義則の二代にわたる守護所「越部守護屋形」が設けられ、赤松氏の勢力を誇示しました。しかし、1441年（嘉吉元年）に勃発した嘉吉の乱は、この城山城の歴史に大きな転換点をもたらします。

当時の守護所であった坂本城に籠城していた赤松満祐は、長期戦に耐えられないと判断し、要害である城山城に移動します。しかし、山名宗全率いる幕府軍に包囲され、激しい攻防戦の末に落城。満祐は一族69名とともに自害し、壮絶な最期を遂げました。一方で、満祐の甥である赤松則尚は逃亡に成功しています。

その後、城は山名氏の支配下に入りますが、後に再び赤松氏の手に戻りました。しかし、天文年間には尼子晴久の攻撃を受け、播磨攻略の拠点として利用されました。尼子氏が撤退すると、城は次第に廃れていきました。

現在、城跡からは当時の遺物が発掘され、たつの市立埋蔵文化財センターに展示されています。また、嘉吉の乱で落命した赤松一族を弔う供養塔が、本丸跡や麓の集落に多数建てられています。

毎年8月14・15日には、赤松一族の霊を慰める盆供養「さいれん坊主」が、赤松一族の末裔らによる「さいれん坊主保存会」によって執り行われています。この祭りは、城山城の歴史を語り継ぐ重要な文化財となっています。

周辺

城山城の周辺には、大倉山（ふるさと兵庫100山）や、井関三神社、西播丘陵県立自然公園、近畿自然歩道などがあり、自然豊かな環境が広がっています。また、近隣には、同じく赤松則祐が築いた長水山城や、鬼ノ城、矢野荘といった歴史的な場所も点在しています。

参考文献

播磨学研究所編『赤松一族 八人の素顔』神戸新聞総合出版センター、2011年。

関連項目

井関三神社
西播丘陵県立自然公園
近畿自然歩道
神籠石
長水山城 - 同じく赤松則祐が築いた山城
鬼ノ城
矢野荘

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