城生城

城生城（じょうのうじょう）

城生城は、富山県富山市八尾町に位置していた山城で、現在は富山市の指定史跡として名を馳せています。また、別名で蛇尾城とも称されています。この城は、神通川の西岸に築かれており、その全体が独立した丘陵上に広がっています。その姿はまるで軍艦のようであり、圧倒的な存在感を示しています。

規模と構造

城生城の規模は非常に大きく、城域は南北約750メートル、東西約150メートルに及びます。丘陵自体の高さはおよそ124メートルで、比高差としては約50メートルの高低差があります。城の周囲には、天然の堀とも言える地形が形成されており、特に東側は神通川、西側と北側は土川に囲まれています。南側を除く3方向には自然の防御壁が設けられ、さらに北端には堀切があり、崖によって他の地域から遮られています。

南側には大手口が設けられ、土橋や馬出し、石積みで造られた二重の虎口が存在しています。城の区域には、巡らされた空堀や土塁が市進を防ぐ堅固な作りとなっており、特に南部は防御の要所としてしっかりとした強化が施されました。これは、おそらく戦国時代の武将佐々成政による改修の結果と思われます。さらに、城の中央には主郭があり、周囲から10メートルほど高い位置に位置します。この主郭は北を除く3方向に切岸と広い空堀で囲まれていますが、北側は広大な平坦地が広がり、居住施設や物資の備蓄所として利用されていたと考えられています。

その立地は飛騨街道に面しており、飛騨から富山平野に向かう者にとって通過必須の地点であったため、交通の要衝でもありました。また、神通川の水運にも重要な影響を与えていたとされます。

歴史

城生城は、越中国婦負郡南部を支配した斎藤氏の居城であり、その家系については藤原利仁の後裔ともされていますが、具体的な証拠は不明瞭です。斎藤氏の最初の記録は南北朝時代に遡り、斎藤左衛門大夫入道常喜が北朝方に属し、功績により越中国楡原保を賜ったことが最古の文献に示されています。このころ、おそらく城が築かれたと推測されます。

戦国時代には、飛騨勢の北進を防ぐための拠点や、飛騨と越中間の交易路の要所として、多くの勢力によって重視されました。越後国守護代の長尾為景からの要請により、飛騨口を守備する場面もあったほか、他の勢力の攻撃を受けることもありました。

天正年間には、上杉謙信の家臣となったものの、同盟関係が変化し、斎藤信利は織田信長と接触を持つことになります。その後、再度上杉景勝に接近するも、最終的には再び成政に攻め込まれ、長期の籠城戦の末に落城しました。成政の降伏後、城は前田利長の支配下となり、その後急速に廃城となりました。

現在の状況

現在、城生城の南端は土砂採掘により削られているものの、その他の部分はほぼ原形を保っています。地元の住民による整備も行き届いており、観光客にとっても充実した見学スポットとなっています。周囲の景観も美しく、訪れる人々に印象深い歴史的な体験を提供しています。また、近隣には、一向一揆に関連した寺院、聞名寺が存在し、歴史を物語る重要な場所とされています。

しかし、アクセスの面では難点があり、周囲に駐車スペースがなく、最寄りの駅からは徒歩で15〜20分かかるため、観光資源としての活用は十分とは言えません。それでも、城生城はその歴史的価値から訪れる価値がある遺跡であることは間違いありません。

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