斎藤信利

斎藤信利の生涯とその背景

斎藤信利（さいとう のぶとし）は、戦国時代から江戸時代初期にかけての著名な武将であり、越中国城生城の主として知られています。彼の出自と生涯には、当時の武士たちとの関わりや地域の歴史的背景が大きく影響しています。

出自と家族背景

信利が属していた越中斎藤氏は、藤原北家の利仁流を称し、越中国婦負郡の楡原保一帯で力を持つ国人でした。南北朝時代、彼の祖先である斎藤左衛門大夫入道常喜は、桃井直常討伐において功績を挙げ、室町幕府初代将軍・足利尊氏から越中国の領地を授かったと伝えられています。この家系は、同じ地域に勢力を持つ神保氏とは長い間敵対してきましたが、天文年間に神保氏の長職に攻められ、結果的に服属しました。

信利は天文23年（1554年）に斎藤伯耶守利基の子として生まれ、周囲の影響を受けながら成長していきました。1582年に父が亡くなった後、信利は家督を相続しましたが、その際の状況は非常に厳しいものでした。

武将としての活動

信利は当初、越後国の上杉氏に仕官しましたが、上杉謙信の急死を受けて、織田信長に接触します。彼の居城である城生城は、飛騨国と越中国を結ぶ交通の要所であり、この地を拠点にした信利は織田軍の活動に積極的に加わりました。

特に、天正6年（1578年）に行われた月岡野の戦いでは、上杉軍に対して織田軍が大勝を収め、この戦闘で信利は重要な役割を果たしました。また、信利の弟である信吉も今泉城を攻略するなど、兄弟揃って織田氏に貢献したことが評価され、信長からは特別な朱印状も授けられました。信利の名の「信」は、信長からの偏諱によるものとされています。

しかし、信利は再び上杉氏に接近し、1582年の本能寺の変の際、織田信長が亡くなると、一族ともども上杉方に寝返ることとなります。この決断の背景には、地域情勢の変化や信利自身の生存戦略があったと考えられています。

上杉方への寝返りとその後

上杉景勝と手を結んだ信利は、越中において織田重臣・佐々成政に抵抗しましたが、居城を奪われた際には義兄である飛騨国の姉小路頼綱に頼ることになります。その後、信利は頼綱の仲介により、佐々成政に仕官し、能登国との国境にある湯山城を守ります。

しかし、佐々成政が没落すると、信利は徳川家康に仕官し、下総国や近江国で1500石を受け取ることになりました。これにより、彼は新たな人生を歩むこととなります。

最期と子孫

信利は慶長15年（1610年）8月4日、山城国の伏見で亡くなりました。享年は57歳であり、その死は当時の家族や子孫に大きな影響を与えました。信利の子孫は江戸幕府の旗本として名を残し、赤穂事件に関連した斎藤左源太は、その末裔にあたります。

信利の生涯は、戦国時代の複雑な武士社会の中で、さまざまな忠誠や戦略を駆使しながら、地域の歴史に埋もれることなく、重要な役割を果たしたことを物語っています。

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